石破茂氏「想定超える善戦」が持つ大きな意味 注目の進次郎氏は石破氏支持を表明して投票

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首相は当選後の記者会見で人事については「これからじっくり考える」と白紙を強調する一方、「総裁選の結果を踏まえて、しっかりした土台の上に幅広い人材を登用したい」と語った。ただ、19日夜のインターネット番組では「適材適所であり、同じチームとしてチームワークを保ちつつ、同じ方向に向かっていかないとダメだと思う」と語った。

党内ではこの発言を「麻生氏と二階俊博幹事長、菅義偉官房長官のいわゆる政権の3本柱を続投させる一方、石破氏や同氏支持者は要職に起用しない意向をにじませた」(麻生派幹部)と受け止める向きが多い。小泉氏については、来夏参院選での応援弁士としてのフル稼働を前提に「筆頭副幹事長続投説」が取りざたされている。

首相は沖縄県知事選の結果も踏まえて10月1日に新体制を発足させる方針だ。10月23日前後と見込む首相の訪中日程も考慮して、災害のための大型補正予算を審議する臨時国会の召集時期は10月下旬以降とする方向だ。

首相は圧勝での総裁3選を踏まえて、公明党の了承も得て自民党改憲案をこの臨時国会に提出したい考え。記者会見でも「総裁選で結果が出た以上、全党で(改憲実現に)取り組むべきだ」と強調した。ただ、「スケジュールありきではいけない」と主張した石破氏の総裁選善戦を受けて、自民党内でも「拙速は避けるべきだ」(有力議員)との声が強まっている。

首相の「キングメーカー」狙いは国政選7連勝が前提

その一方で、首相が「最後の戦い」を勝ち抜いたことにより、今後は首相退陣後の「政治家としての立ち位置」も注目されることになる。首相は19日のインターネット番組で「政界を引退したら映画のプロデューサーになりたい」との夢を披露してみせたが、総裁選翌日の21日に64歳となる首相は、3年後もでもまだ67歳だ。

現在、安倍政権を支えて党内ににらみを利かせる麻生、二階両氏はその時点で80歳を超える。このため、首相陣営では「首相退任後は細田派を安倍派に衣替えして最大派閥の領袖となり、新たなキングメーカーとして院政を狙うのでは」(側近)との見方もささやかれている。ただ、新たな3年の総裁任期を全うする場合は2012年の再登板後3回目の衆院解散の機会も探ることになり、来夏の参院選も含めて「国政選挙7連勝」がキングメーカーへの前提条件となりそうだ。

泉 宏 政治ジャーナリスト

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いずみ ひろし / Hiroshi Izumi

1947年生まれ。時事通信社政治部記者として田中角栄首相の総理番で取材活動を始めて以来40年以上、永田町・霞が関で政治を見続けている。時事通信社政治部長、同社取締役編集担当を経て2009年から現職。幼少時から都心部に住み、半世紀以上も国会周辺を徘徊してきた。「生涯一記者」がモットー。

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