そんな彼がファッションを見直すことになりました。私がアドバイスしたのは、色のついたニットセーターをジャケパンに合わせるスタイル。拙著『毎朝、迷わない!ユニクロ&ツープライススーツの上手な使い方』でも触れていますが、ダークスーツを基本とするビジネスファッションに色を入れられる箇所は限られており、カラフルなニットならノーネクタイであっても、ネクタイ代わりのメリハリを生み出します。
白石さんも初めは抵抗があったのですが、同じような異業種交流会における周囲の反応が変わりました。名刺交換をすると「あっ、Webを作られるんですね。だから、おしゃれなんですね!」と言われるようになったそうです。因果関係を明確に言えませんが、仕事の受注も増えたそうです。
もちろん、ご本人の営業力によるところが大きいと思いますが、高級なスーツを選ばずとも、積極的にカラフルなアイテムを採り入れたことで、色に反応するという人間の本能に訴えた効果は少なからずあったはずです。
「誠実で信頼できそうだな」というように第一印象の段階で、人は先入観をもって会話を始めます。もちろん、その印象と内容が一致しているとは限らないからこそ、「人を見た目で判断するな!」というような格言があるのでしょう。ですが、いまだにその格言が受け継がれているということは、やっぱり人は相手を見た目で判断してしまう性質だということなのです。ならば、ビジネスマンとして見た目を磨いておいて損はありません。
実際、服をビジネススキルの一部として扱う人は、「服=コミュニケーション」と考えている人が多いように見受けられます。その心は、自分が着たい服ではなく相手が期待する服を装うということ。自分が「着たい服」と人が「期待する服」は別物です。
レバレッジが効くスーツの着こなし
生命保険業界において、各社のトップセールスマンが一同に会するコミュニティがあります。ここに集まる営業マンたちは、すべからくスーツの着こなしから清潔感があふれています。
もちろん、服にお金を掛けるだけの収入があるからなのかもしれません。ですが、ちょっとした工夫で3万円スーツの印象を変えることができます。
たとえば、上下ダークカラーが基本といわれるスーツは全身が暗い印象になりがち。だからこそ、メリハリを効かせるため、胸ポケットにチーフを入れてみます。キザだから挿すのではなく、顔まわりを明るく見せるため。プロのフォトグラファーが撮影のとき、レフ板を当てる効果と変わりません。そうすると、白いチーフが印象を明るく変えます。ちょっとの工夫が、清潔感につながります。
保険、住宅、英会話スクールなど、BtoCビジネスの営業マンは、この身なりを整えることの大切さに気づいています。同じ内容を伝えたとしても、聞き手が感じる言葉の信憑性が変わるからです。もちろん、その可能性はわずか数パーセントかもしれません。それでも、その数パーセントの積み重ねが営業成績や人事評価に少なからず影響を与える可能性もあるのです。ビジネスパーソンが身なりを変えると、周りの反応も確実に変わります。
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