塚原副会長、TV生出演に見たパワハラの温床 組織トップが使ってはいけない4つの言葉

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しかし、「日本体操協会の副会長や強化本部長という役職の力を朝日生命体操クラブのために利用したのでは?」という問題については言及せず。みずから生放送の番組に出演したのなら、「疑惑を払拭するために、何とか言葉を重ねよう」という熱意を伝えるのが自然であり、「都合の悪そうなことには踏み込まない」という心理が透けて見えました。

加藤さんが「(塚原千恵子本部長が主導する)2020(東京五輪特別強化選手)も含めて、トータルのパワハラではないかと考えていますが?」と見解を述べると、「あーそうですか。まず2020の趣旨としては、メダルを目指さなければいけない。今の女子のトップ選手が世界に通じるような技術を見つけなければ到達しない。当然、(声をかけた)全員が入っているんですけど、宮川選手だけとにかく入らない。『速見コーチと2人でやりたい』と……」と釈明。ここでもやはり、宮川選手側のみに問題を求めるコメントに終始しました。

「憶測で相手を貶める」致命的な失言

耳を疑ったのは、宮川選手の「『2020には専任コーチがいるから速見コーチは入れない』と言われた」というコメントに塚原副会長が、「それは全然違います」と否定し、「それは最近の話で、所属の問題が絡んでいるんですよ」と宮川選手の契約に関する話題にすり替えたこと。続けざまに「宮川選手と速見コーチが、スポンサーから契約金をもらって契約されたと。そういう話をオーナーから聞きました。ところが『いろいろと気に入らないところがあるからやめたい』と言ってきたらしいんですよ。僕はそこまで入ってないからわかんないんですけど」と無責任な口ぶりで、宮川選手の発言を否定しました。

「公の場で、他人を憶測で貶める」という組織のトップや管理職が最もやってはいけないことをしてしまったのです。さらに塚原副会長は、「(宮川選手の代理人である)山口(政貴)弁護士が『もともと(契約での)争いはなかった。今はちゃんと解決している』とおっしゃっていました。でも『争いがなかったら解決もないんじゃないか』と思いますし、僕は『あれっ?』と」と苦笑い。まるで「パワハラで攻め込まれたから、契約の話題でやり返そう」というような強硬姿勢を見せたのです。

徹底的に争うのであれば、このような強硬姿勢もありでしょうが、塚原副会長は番組冒頭で、「選手たちに迷惑をかけているので、早く鎮静化したい」と番組の出演理由を語っていました。しかし、強硬姿勢を見せたことで、「何のために出演したのか?」という理由が、「自身の正当性をアピールするため」という印象に変わってしまったのです。

加藤さんから、“塚原帝国”とも言われる状況について、「『塚原夫妻に口が利けない』という風潮について反省など、どう考えていますか?」と尋ねられた塚原副会長は、「そういう人のお話も聞く機会を作るべきだったと思うんですけど、われわれは代表に選ばれている24名とコーチといつでも話し合って、『いろいろなことをどういう形がいいか』と喧々囂々(けんけんごうごう)をやっています」と返答。相手への理解・尊重にあたる「思うんですけど」までの言葉が短く、自己主張にあたる以降のほうが長いコメントでした。

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