塚原副会長、TV生出演に見たパワハラの温床 組織トップが使ってはいけない4つの言葉

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続いて話題は、7月15日午後3時ごろに塚原夫妻の部屋へ宮川選手を呼び出したときの発言へ。個室で2対1の状況を作ったことについて塚原副会長は、「代表選手の一人一人にミーティングをしているので宮川選手だけではありません。僕がいたのは、たまたま合宿の初日なのであいさつに行っていたから」と釈明。

しかし、同日の「ミヤネ屋」(日本テレビ系)で池谷幸雄さんから「選手たちに聞いたら『そういうミーティングはなかった』と言っていた」と完全否定されてしまいました。まだ真実はわからないものの、第三者からすぐに否定されてしまう釈明は、善悪というより代理人と協議して事前に作った想定問答集の甘さが見えます。

次に、宮川選手が暴力を受けても速見コーチの指導を望んでいることを「宗教みたいだ」と言ったことについては、「ふっと出た言葉。それが表に出てしまったんですけど」と返答。正直に答えたのはいいのですが、自分側の失言である以上、謝罪の言葉を添えるべきでしょう。

さらに塚原副会長は当時の様子を「学校の先生が生徒をさとすように、あるいはお母さんが子どもに『あなたダメですよ』という雰囲気でしたよ。『脅していた』という雰囲気はなかった」と宮原選手の証言を否定。「相手を不快にさせたり、相手の尊厳を傷つけたりする」というパワハラの定義をスルーし、身内である妻のみを擁護するコメントはマイナスイメージが増すだけです。

加藤浩次さんから「『オリンピックに出られなくなる』と言われたことで宮川選手は恐怖を感じていますが、その理由は何だと思いますか?」と聞かれた塚原副会長は、「おそらくいろいろな自分の問題を抱えているから。所属の契約の問題とか、暴力の問題とか」とコメント。身に覚えがないのならパワハラを認める必要はありませんが、原因を相手の中にのみ求め、自分をまったく省みない姿勢は、「利己的な思考の持ち主」と言われても仕方のないものでした。

宮川選手にのみ問題を求める姿勢

加藤さんから、塚原夫妻による「朝日生命体操クラブ」への選手引き抜きに関するコメントが宮川選手以外からも出ていると指摘され、コメントが書かれたフリップを見た塚原副会長は、「なるほどね」と厳しい表情に。

「何でこれだけの人がこう思っているのに、(塚原夫妻と)話がズレるんですか?」と聞かれると、「体操界ではクラブを移動するのは自由になっているんですよね。私のクラブだけではなくて、池谷くんのところもたくさんの人が集まっているし。引き抜きというのは作為的に……たとえば金銭を持ってね」と認識の差を強調しました。

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