プログラミングが「コミュ力」育成に効くワケ 機械と対話する能力が子どもを成功に導く
コンピュータを用いてプログラミングを経験することのさらなる意義は、「メタ学習」である。「メタ」とは上位のという意味だから、メタ学習とは学習に関する学習ということになる。
たとえば、知識観や学習観、つまり知識とは、学ぶとは何かについて、子どもたちはそれまでの経験から主観的な信念を形成している。従来型の教育では、知識は本の中にあり、学習とはそれを頭の中に正確にコピーすることだと思いがちであった。
これに対してプログラミングでは、不完全な状態から出発して、他人に教わったり助け合ったりしながら、少しずつ完成度を高めていけばよいという経験をする。これが、知識とはどこかに存在するのではなく、自分たちが力を合わせて生み出すものであり、しかも徐々に、またどこまでもよりよいものにしていくことができるという知識観をもたらす。
プログラミングは未来志向型の「学力」
また、プログラミングでは繰り返し試行錯誤しながら作業を進め、その途上でスキルアップが図られていく。そこから、学ぶとは自ら目当てや問いや見通しを持ち、自分なりのやり方で対象にかかわり、返ってくる反応を見ながら、概念を形成したり修正したりすることだと気付くのである。
しかも、努力は必ず何らかの成果をもたらすと実感し、失敗(意図したのとは異なる結果)さえも、次に何をすべきかを告げてくれる価値ある情報と見なせるようになっていく。
これらのメタ学習は、「プログラミング的思考」の重要な一部であると同時に、新学習指導要領がその形成を目指す「学びに向かう力、人間性等」の中核に位置するものでもある。
そしてそれは、コンピュータを用いたプログラミングの経験を通して、極めて自然に、また着実に育成することが期待できる、未来志向型の「学力」の一つなのである。
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