プログラミングが「コミュ力」育成に効くワケ 機械と対話する能力が子どもを成功に導く

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音楽の授業でも、4小節なり8小節のメロディーが、時に分岐しながら一定のパターンで順次・反復されることで楽曲が生み出されていることを繰り返し経験している。この事実への気付きは「プログラミング的思考」を大いに促進するであろう。

これらに関して「議論の取りまとめ」は、「各教科等で育む思考力を基盤としながら『プログラミング的思考』が育まれ、『プログラミング的思考』の育成により各教科等における思考の論理性も明確となっていくという関係を考え、アナログ感覚を大事にしていくことの重要性等も踏まえながら、教育課程全体での位置付けを考えていく必要がある」としている。

このように、在来の教科とプログラミング教育は互恵的な関係にある。小学校プログラミング教育の必修化に伴い、特に新教科を立ち上げなかった理由もこの点にある。

人間とは異なるコミュニケーションを覚える

ここで、コーディングではなく「プログラミング的思考」の育成がねらいならば、必ずしもコンピュータを用いなくてもよいのではないか、との疑問が生じるのは自然なことであろう。実際、「アンプラグド」の考え方の下、コンピュータを使わずに紙と鉛筆で行うプログラミング教育も可能であり、時に効果的である。

と同時に、コンピュータでプログラミングを行うことによってこそ感得できるものもある。初めてプログラミングに挑んだ子どもたちは、よく「先生、今日はこいつ、機嫌が悪いみたい。昨日と同じようにプログラムしているのに、さっきから全然言うことをきかないんだ」などと言う。

あるいは、「先生、さっきからコンピュータはずっと同じことを繰り返してくれていて、そろそろ疲れたんじゃないかなぁ。私が命令したんだけれど、何かかわいそうになってきたので、止めていいですか」という子もいた。

コンピュータには機嫌の良し悪しはないし、疲れも飽きもしない。プログラムした通りにいつでも、またいつまでも動き続ける。そして、少しでもミスがあればまったく動かなかったり、意図したのとはすっかり異なる動作を平然と実行する。

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