グローバルエリートの講評
今回の猪木氏のお話を伺って、私はますますアントニオ猪木氏に興味を持った。パキスタンでの興業強行など、石橋をたたいても渡らない安全志向の人が到底達成できないことを、持ち前の「周りが反対しても俺はやる」という強い信念で突き進む突破力を考えたとき、どれだけアドレナリンとテストステロンの分泌(攻撃ホルモン)が激しい人なのだろうと感嘆せざるをえない。
この行動力は、日頃、自分がやりたいことがあっても、石橋をたたく人たちに制止されて、結局、何もできないユニークな強みのかけらもない人生を送っている、と悲嘆にくれる多くの人たちに、強い示唆を与えてくれる。
この「大勢に流されず、自分は自分の信念に従って行動する」というのは、同調圧力の強い社会だと非常に難しく、時に危険を伴うものであるが、猪木氏は北朝鮮外交という難しい問題でも閉塞感を打破すべく、大きなリスクをとって訪朝している。
別に猪木氏は国同士の取り決めで何か決められる立場ではないので別に日本の国益が毀損される問題ではないと思うし、むしろ”政府は反対していて、政府は承認していないけど、勝手に言って情報交換してくる人”という位置づけの猪木氏は、むしろ新たな外交手段の一つともいえよう。
事なかれ主義で何もしない、いてもいなくても同じの無数の参議院議員より、よっぽど仕事をしているようにも思える。
私も空気を読まず、反対されても信念に基づくコラムを1年間書いてきたわけだが(笑っていいとも終了におもうこと、とかももクロとかダウンタウンとか、あまり信念もなく適当に書いたことも多いけど)、私たちの社会に欠けているのは、アントニオ猪木氏の持つ、「どれだけ反対されても恐れずリスクをとってやるんだ」という“燃える闘魂”そのものではないだろうか。
次回のアントニオ対談最終回ではこの“燃える闘魂”が、今後、どこに向かうのか、引き続きアントニオ猪木氏のお話を伺いたい。
(司会・構成:佐々木紀彦、撮影:今井康一)
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