この経常費等補助金が、経常収入(教育活動収入と教育活動外収入の合計)に対してどれだけの割合になっているかを示したのが、「経常補助金比率」だ。おおむね10%前後が平均的な数字だが、今回は経常補助金比率が25%以上の学校法人139を掲載している。
結果を見ていこう。1位は函館大谷学園。コミュニティ総合学科やこども学科などで構成される函館大谷短大を運営している学校法人だ。
経常収入は10.9億円の一方で、経常費等補助金は6.2億円。経常補助金比率は57.2%にも達する。なぜこんなに補助金が多いのか。その内訳をみると、事情が見えてくる。経常費等補助金のうち、国庫補助金は約4600万円、自治体からの補助金が約2.1億円となっている。それ以外に施設型給付費という補助金が約3.5億円もある。
この施設型給付費というのは、幼稚園や保育園、認定こども園などに支払われる補助金で、同法人は短大や高校のほかに、付属のこども園や幼稚園を計4園運営している。その運営に対する補助金が支払われている。自治体の補助金も、主に傘下の高校(函館大谷高校)のもので、結果的に補助金比率が膨らんでいる。
若者を呼ぶため自治体が支援する大学も
3位の日ノ本学園も同じような構図だ。経常補助金比率は47.1%。幼児教育科で構成される姫路日ノ本短大を運営しており、こちらも高校や幼稚園を擁する。地方自治体からの補助金はほぼ高校と幼稚園向けで、施設型給付費は幼稚園向けに交付されている。
上位の短大の多くは、保育士や幼稚園の教諭を養成するために、付属の幼稚園や保育園、こども園を併設している。幼稚園や保育園のための補助金は相当な額で、学校法人の補助金比率が高い要因となっている。
また、高校への補助金も充実しており、傘下に高校を持つ学校は、補助金が膨らむ傾向にあることがわかる。高校のほうが大学や短大よりも規模が大きい学校法人もある。そうした学校法人は補助金の割合も大きくなるのだ。
さらに、ランキングの上位には地方の大学や短大が目に付くが、そうした大学を自治体が支えているケースもある。2位の稚内北星学園はその代表例だろう。
キャンパスが日本の最北にあり、国内初の情報メディア学部を設置した稚内北星学園大学は、北海道稚内市を中心に、地域の関連団体が設立に関与した公設民営大学だ。
同大学の経常費等補助金は1.7億円で、経常補助金比率は57.0%に及ぶが、大きいのは稚内市の支援だ。定員割れが続き、財政的にも厳しい状況が続いており、財政再建のため、2016年度から5年間にわたって、補助金や短期貸付金からなる財政支援を受けてきた。この決算年度も5000万円の補助金を受けている。
道北地域初の四年制大学として、地域での情報メディアやICTの普及に存在感を発揮しており、存続できるようなスキームを自治体も考えたうえでの結果だろう。なお、地域コミュニティの中核的な存在となる大学を支援するとして、「地(知)の拠点整備事業」という、文部科学省が行っている補助金事業があるが、稚内北星学園大学は2014年に採択され、その補助金の交付も受けている。
ランキングを見ると、公設民営大学が何校か散見される。若者が通うことで地域が活性化するという意味では、地方における大学の存在は大きい。国は地方創生策として、そうした地方の大学への支援を強化しており、補助金の額にもその傾向が垣間見える。だが費用対効果に疑問符の付く例も決して少なくない
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