社長解任のJPHD、保育園大手が直面する難題 保育士・金融筋…動揺するステークホルダー
さらに1000億円構想におけるM&Aについて、同社と筆頭株主のマザーケアジャパンがどのような役割分担や資金面での支援体制を採るのかも不透明だ。マザーケアジャパンは今年1月に創業者の山口洋氏から持ち株のほとんどを取得しているが、その取得資金(81億円)をどのように調達したかについても明らかにされていない。
創業者の山口氏と経営面でも”和解”
JPホールディングスは第1四半期決算の発表とほぼ同時に、山口氏との和解も発表している。山口氏は昨年末、開示資料によって名誉を毀損されたとして同社に訴訟を提起していた。和解によって、会社側は公表資料の中の山口氏に関する記述を取り消した。そのうえで、古川社長は「山口氏が会社に戻ることはないが、助言は求めていく」として、経営面でも“和解”を進めていくことを示唆している。
就任当初、古川社長は、「山口氏は会社に戻ってくることはない」と幹部社員たちの動揺を抑えにかかった経緯がある。これまで荻田前社長に追従していた前経営陣は、「山口氏は保育園企業にふさわしくない」としてきた。これは、グループ基幹会社の幹部クラスもまったく同様だったようだ。
今後は山口氏が多少なりとも経営に影響力を持つということになりそうだ。結局は山口氏の経営経験に頼らざるをえないということか。この背景には、山口氏の所有株を買収したマザーケアジャパンの坂井氏と山口氏の関係があるともみられている。
古川新社長、坂井取締役は保育園の現場を回り、とりあえずは対話・コミュニケーションで社員たちの心をつかむ作業にとりかかる意向とみられる。だが、多くのステークホルダーからの信頼・信任を取り戻すのはそう簡単な作業ではなさそうだ。
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