「東京ばな奈」の本社は無類の石好きが建てた 「世界各地の石」が集う、夢のビルの正体

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株式会社グレープストーンの銀座本店ビル。地上8階地下2階。外壁には、世界から集めた24種類の石が使われている。1階には「ねんりん家」がある
世界各地の石が、パッチワークのように連なる外壁が印象的な「座STONE ザ・ストーン」。このビルは、無類の石好きである施主の思いから生まれたという。銀座屈指の石のビルはどのようにできたのか、お話をうかがった。

銀座の中心、4丁目交差点からほど近い西五番街に、ひときわ目を引くオフィスビル「座STONE ザ・ストーン」がある。2013年に竣工したこのビルの外壁をよく見てみると、すべて石に覆われている! 石はカナダや中国、イタリアや南アフリカなど、さまざまな地域から取り寄せられたもので、その数は24種類にもおよぶそう。ビルの入り口には彫刻家樂雅臣(らくまさおみ)の「ジンバブエブラック(ジンバブエ産の黒御影石)」による彫刻も展示されている。どこを見ても、銀座という街にふさわしい重厚感だ。

本記事は『東京人』2018年10月号(9月3日発売)より一部を転載しています(書影をクリックするとアマゾンのページにジャンプします)

このビルは東京土産で人気の「東京ばな奈」で知られる菓子メーカー、株式会社グレープストーンの本社ビル。1階のバウムクーヘン専門店「ねんりん家」店内のほか、2階のデザート専門店「銀座ぶどうの木」へ続く外階段まわりも石がふんだんに使われている。石材メーカーでもないのに、ここまで自社ビルに石を使っているのは、グレープストーンの創業者でもある代表取締役社長が無類の石好きだから、という理由にほかならない。

サンプルを見せたら、「全部使おう」と。

「理由はわからないものの、石を見ると自ずとほれぼれしてくるのです。終戦後の東京で幼少期を過ごしましたが、その頃、ある豪邸の庭に放置された大きな石の立像が心に残りました。これが私の、石の原体験かもしれません。あと、私は山も好きなんです。山梨県北杜市に瑞牆山(みずがきやま)という花崗岩に覆われた岩山があるのですが、その山を遠くから眺めているといたたまれなくなりますね」と社長。「私たちの世代にとっては、ビルといえば『石造り』。外装が石でない建造物は、どんなに大きなものであってもビルという感じが持てないのです。西欧の古代の建築が石造りであるように、石こそすべての建造物の原点であると考えています。だからこそ、建てるなら『石!』という感じのものにしたかった」。

1階エレベーターホールでも、石がふんだんに使われている

そこで、石のプロフェッショナルである矢橋大理石株式会社が石の選定を行うことになった。

「ここまで石に思い入れのある施主さまに出会ったことがなかったので、私たちも気合が入りました。私たちが用意した24種類の石サンプルを見て、社長が『全部使おう』と言ったときは驚きましたね。いくつか選んでもらうつもりで用意していたので」と語るのは、矢橋大理石株式会社の鹿野考重(しかのよししげ)さん。外壁に使用する石だけで150tもの重量があるため、建物とは別に外壁の石専用の構造を作った特別設計のビルだ。

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