組織の掟を気にしない女性に教えたい「基本」 序列や肩書きを意識するのは「マナー」です

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上司とのコミュニケーションがうまく取れていないと思うときは、「5分だけ」とか「10分だけ」と断って上司と話す時間のアポを取りましょう。忙しがっている上司、部下なんかに割く時間はないと思っている上司に話すのは気が進みませんが、それは「男性主体の組織で働くマイノリティの組織人」としてやらねばならない行動と割り切ります。

おすすめは、「2週間程度先」の予定としてふんわりアポを入れることです。できればコミュニケーションがうまくとれていないと思う上司にこそ定例的に業務報告の時間を取ってもらい、お互いの誤解をなくし、意思疎通を図りましょう。上司から声がかかるのを待つのが“ピラミッドの住人のマナー”かもしれませんが、ここは自分から声をかけないと「相手は女性だから」と見当違いの遠慮をしているかもしれないのです。

職場の上司と部下として、日常の仕事の連絡はこなしていても、意外とお互いが将来についてまじめに話す時間はとっていないものです。

職場のコミュニケーションは自然ととれるものではなく、部下とも上司ともしっかり意識して努めて行うものです。前例がないと言われたら「自分は職場で数少ない女性なので、よく様子がわかっていないかもしれません。だから、教えていただきたいのです」とかなんとか言って、女性の置かれている状況を理解してもらいましょう。

ときには「劇薬」を

しかし残念なことに、男性上司の中には女性の言うことをまじめに聞かない、先入観を持って女性の能力を見下している人もいないではありません。いくらコミュニケーションに努めていてもそれがしっかり受け止めてもらえないときは、上司の上司などに飛び越えて相談するのもありかなと思います。

これは一般的には禁じ手で、職場の「おきて破り」の行為です。しかしまだ女性にどう対応すればよいかわかっていない上司もたまにはいる中では、劇薬も時には効果を発揮します。その際はくれぐれも「あの課長ときたら女性蔑視でサイテーです」などと感情をむき出しにせず、どのような行為や言動があったか、事実を冷静に伝えるよう工夫してください。

坂東 眞理子 昭和女子大学総長

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ばんどう まりこ / Mariko Bando

1946年、富山県生まれ。東京大学卒業後、1969年に総理府(現内閣府)に入省。内閣広報室参事官、男女共同参画室長、埼玉県副知事、在オーストラリア連邦ブリスベン日本国総領事などを歴任。2001年、内閣府初代男女共同参画局長を務め、2003年に退官。2004年から昭和女子大学教授、2007年から同大学学長、2014年から理事長、2016年から総長を務める。著書に330万を超える大ベストセラーになった『女性の品格』ほか多数。

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