「父親に『お前は家を継げ』と、猛反対されたんです。あまり、ああしろ・こうしろと言わないタイプの人なので、正直びっくりしました。『働きたいのなら宿泊施設で働いていいよ』と言ってくれるかと思っていたので。父は家業に強い思いを持っていたことを、そのとき初めて知りました」
父親の反対により、宿泊施設の仕事をやめ、実家に戻ってきた。家業は職人仕事なので技術を身につける必要がある。革製品を作り、得意先へ卸し、売り上げの計算など、何から何までやらないといけない。
自営業だが外とのつながりを持っていたい
ダイスケさんは今年の3月に結婚。現在は実家の近くにアパートを借りて夫婦で暮らしている。
「そういえば、親は妹や姉のときは結婚資金を一部出していたのですが、僕のときは出してくれませんでした。やっぱり、これも男だからかな(笑)。結婚式には400万円ほどかかり、そのうち半分くらいはご祝儀でまかなえました」
今、ダイスケさんの手取りは月20万円。今まででいちばん収入が多い。妻もパートに出て、月10万円前後稼いでいる。家賃は4万6000円がダイスケさんの口座から引き落とされ、食費や消耗品といった生活費5万円を毎月妻に渡している。夫婦の財布はなく、外出時はこの5万円の中から使うことになっている。
「僕は毎月2万円、妻はあまりお金を使わない人なので、月7万~8万円貯金できているようです。現在僕自身の貯金は100万円くらい。自由になるお金が毎月3万円ほど。このお小遣いの中で、サッカーを観に行ったり、夏と冬のセールの時期にまとめて3万~4万円分、服を買ったりしています」
自営業を継いだことにより、ある程度時間を自由に使えるようになった。勤務時間は基本、9~17時だが、切り上げたいときは早めに切り上げることもできる。通勤時間もほとんどかからないため、妻よりも早く帰宅することが多く、家事も分担している。
「僕たちの世代って“お金よりも自分の時間が大切だ”と言われて育った風潮があるように感じます。だから、とりあえず自分の時間が取れることを求めて就職をしてみたものの、実際には多忙で自分の時間があまり取れませんでした。今は、時間はそれなりにあります。そして、売り上げが自分の給料に直結して、結果がすぐにわかる仕事です。
今後、子どもをつくることを考えると、もっと稼がなければと思います。実家のリフォームもしたいです。また、父親は生涯現役だと言っています。言葉は少し悪いですが、いつ父親が亡くなっても業務が滞りなく進むよう、もっと仕事の地盤を固めたいです」
また、ダイスケさんは家族経営特有の内向的な雰囲気に慣れてしまわないよう、積極的にボランティア活動やNPO法人での活動に参加し、外との交流を持っている。
2度会社員を経験し、現在も外とのつながりを持ち続けている。彼は30歳ならではの価値観で自営業に勤しんでいるよう感じられた。
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
無料会員登録はこちら
ログインはこちら