トルコリラ暴落後の「大惨事」はありえるのか

危険を知らせる市場のカナリアかもしれない

アジア通貨危機やロシア通貨危機、ITバブル崩壊そしてリーマンショックといった経済危機が再び起こる可能性が出てきている、ということだ。

たとえばアメリカの株式市場は、すでに3453日もの間「強気相場」が続いている、というニュースが注目されている。リーマンショック直後の2009年3月9日以降、 S&P500をベースに考えると約10年近くも、米国株式市場は強気一辺倒のトレンドできたことを物語っている。これを「バブル」と言わずして何がバブルなのか。

リーマンショック直前も、そして古くは日本の1980年代後半のバブルが崩壊した時も、バブル崩壊を懸念する専門家の意見はほとんど封殺されてきた。歴史は繰り返すから、再びこうした事態が起こる可能性は十分にある。トルコショックがその前兆だと考えても不自然ではないだろう。

「新興国ドル建て債券」は新しい金融危機の震源地か?

そこで知りたいのが、トルコリラ暴落をきっかけにバブル崩壊が起こるとしたら、どんな事態が想定されるかだ。何がバブルになるのか、あるいはバブルになりつつあるのか……。バブルが進行中あるいはバブル予備軍にはどんなものがあるのか。そのいくつかをピックアップして検証してみたい。

新興国ドル建て債券市場

リーマンショック以降、アメリカをはじめとして世界各国が大規模な金融緩和策や量的緩和策を実施してきた。莫大な資金はアメリカのドル建て資産に流れ、米ドル建ての株式や債券に流れた。とりわけ新興国の多くがドル建て債券を発行し、インフラ整備や産業育成にドル建て債務を積み上げた。

そしていま、アメリカの景気は回復し、金利が上昇し始めてドルレートも上昇。ドル高が続き、金利の上昇によって、外貨準備高の少ない新興国などは、ドルで調達した債務を返済できない事態に直面しつつある。トルコやアルゼンチン以外でも、韓国など外貨準備高の少ない国には懸念が広がっている。

ちなみに、2017年は新興国のドル建て債券発行体にとっては「ゴルディロックス(適温)」だったと言っていい。どんなに悪条件で発行しても、あっという間に高い倍率で売れた。2017年1~3月期の新興国政府と企業は、ドル建て債券発行で1790億ドル(約20兆円)を調達。これは前年同期比で2倍の数字であり、クウェート、アルゼンチン、インドネシア、パラグアイなどが相次いで起債している。

たとえば、投資不適格の格付けであるパラグアイは、10年物国債を利回り4.7%で2017年3月に起債し、5億ドルを調達している。応札倍率は6倍に達したそうだ。

中国企業も多額のドル建て債券を起債している。2017年1年間で中国企業が発行したドル建て社債の発行額は1860億ドルに達したとみられる。FRBの金利引上げ、緩和縮小が予想される中で、調達コストの低いうちに多額のドル資金調達が行われたとみていい。

新興国全体の発行体によるドル建て起債は、2017年末で年間17%増。新興国全体の債務状況は約3兆7000億ドルとなり、10年前の2.4倍に拡大していると報道されている。2017年は年間を通してドル建て起債が急激に拡大したことを物語っている。まさに、適温相場だったわけだ。

このゴルディロックス相場で調達された多額の「ドル建て債券」が、ドルの上昇や貿易戦争による景気低迷などによって、連鎖的に「デフォルト(債務不履行)」を起こせば、世界は再び経済危機を迎えることになるかもしれない。

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