国民民主党の「代表選」が盛り上がらない必然 「政権奪取」とはいうものの…

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国民に広くアピールすべき代表選ですら、こうした「ツメの甘さ」が出てくることも、希望の党と民進党が合併して3カ月余りになるのに、政党支持率が上がらない一因だろう。

街頭演説後に両手を上げる津村啓介議員(左)と玉木雄一郎共同代表=22日午後、JR新宿駅前(写真:共同通信)

たとえばNHKの世論調査によると、2018年1月には民進党の政党支持率は1.3%で希望の党は1.0%。2月は民進党は1.4%で希望の党は0.4%。3月には民進党が1.2 %で希望の党は0.6%。4月は民進党は1.4%で希望の党は0.3%。それぞれ足すと2.3%、1.8%、1.8%、1.7%となっていた。

ところが5月に希望の党と民進党が合流して国民民主党になったとたん、政党支持率は5月と6月が1.1%、7月は0.7%で、8月には0.4%まで減少している。

2つの政党が合併してももとの支持率を足したものにも及ばない理由は、「国民民主党」に目玉や特徴がないゆえに党名が国民に浸透していない点にある。

「有名人」はみな立憲民主党へ行ってしまった

代表選が告示された8月22日夕方に新宿西口で行われた演説会では、行きかう人のうち何人かが「民主党か」と言って振り返ったが、多くの国民は「民主党」および「民進党」は「立憲民主党」になったと思い込んでいる。実際に民主党政権の「顔」だった菅直人元首相や枝野幸男元官房長官、蓮舫元民進党代表などはみな立憲民主党だ。

彼らが政治家として必ずしも評価が高かったわけではないかもしれない。しかし、「悪名は無名に勝る」ということわざがそのまま当てはまる。NHKの世論調査では立憲民主党の政党支持率は3月に10.2%を記録し、最近では下降気味だが、それでも8月には5.6%で、国民民主党の14倍もあるのだ。

その国民民主党は9月4日には新代表に玉木氏が選出されることは確実だが、それでは現状は変わらないだろう。目新しさもなく奇をてらうこともないまま、彼らは政界の荒海の底にただ沈んでいくのだろうか。

安積 明子 ジャーナリスト

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あづみ あきこ / Akiko Azumi

兵庫県生まれ。慶應義塾大学経済学部卒。1994年国会議員政策担当秘書資格試験合格。参院議員の政策担当秘書として勤務の後、各媒体でコラムを執筆し、テレビ・ラジオで政治についても解説。取材の対象は自公から共産党まで幅広く、フリーランスにも開放されている金曜日午後の官房長官会見には必ず参加する。2016年に『野党共闘(泣)。』、2017年12月には『"小池"にはまって、さあ大変!「希望の党」の凋落と突然の代表辞任』(以上ワニブックスPLUS新書)を上梓。

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