国民民主党の「代表選」が盛り上がらない必然 「政権奪取」とはいうものの…
とはいえ、津村氏は2年前の玉木氏と同じ前提とはいえない。玉木氏と決定的に異なるのは、津村氏が「小選挙区で勝っていない」という点だ。永田町ではなによりも衆議院小選挙区での当選がものをいう。
2003年の衆院選で初当選して6期目の津村氏は、3歳年上の玉木氏よりも政治的キャリアが2期長い。だがその“戦歴”は2勝4敗で、昨年10月の衆議院選では岡山2区で敗退し、比例で復活している。玉木氏は初陣となった2005年の衆議院選では落選したものの、2009年の衆議院選以降は4回連続して香川2区で当選を果たしている。
小選挙区で勝てていない津村氏が代表選に出馬することになったのは、その背後に自誓会の存在があるためだ。
自誓会は2014年に細野豪志元環境相が結成した派閥。細野氏が民進党を離党した後はグループとして存続しているものの、人数が激減したため存在感はすっかり小さくなった。
それでも「対決より解決」を掲げる現執行部に対する批判の旗を振るべく、今回の代表選では自誓会の中で最も当選回数が多い津村氏が担ぎ出されたかっこうだ。
ところが、津村氏と同じ岡山県を地元とする柚木道義衆議院議員が津村氏擁立に反発して同会を離脱。さらには代表選が告示された8月22日に国民民主党からの離党を表明した。「対決より解決」を掲げる玉木氏ら現執行部の方針では「野党の分断化・分裂の深刻化を進める」というのが離党の理由だ。
しかし、この主張は津村氏とほとんど同じだ。柚木氏自身も代表選出馬を模索して秘書が説明会に参加している。「小義を捨てて大義を得る」という言葉があるが、興味深いのは柚木氏の離党会見では大義は安倍政権打倒という点でぶれがないのに、そのために小義を捨てていない点だ。むしろ小義のほうを大義より優先している印象もある。
「政権奪取」とはいうものの…
代表選初日から、玉木氏も津村氏もともに「政権奪取」を口にしたが、それぞれの“主張”には稚拙さが目立つ。
津村氏は「日本人の新しいライフスタイルをサポートする政策」として、尊厳死の合法化、選択的夫婦別姓、不妊治療の保険適用拡大、LGBT関連の法整備を挙げた。
選択的夫婦別姓や不妊治療の保険適用、およびLGBT関連の法整備は個人の自由の幅を広げる環境整備としていいとして、尊厳死の合法化については唐突だ。世界的にみても尊厳死への考え方は大きく割れており、日本国内においても論争の多い問題だ。公権力が安易に結論ありきで介入するべき性質のものではないだろう。
玉木氏の主張にも課題がある。「第3子には1000万円給付」政策は、「日本国内での人口増加を目指す」ための施策であれば、もう少し詰めが必要だろう。もし、この手当がこども手当と同様に福祉政策として扱われるならば、在日外国人の海外で生まれた子どもに対しても支払われることになり、単なるバラマキとして立法趣旨が損なわれかねないからだ。
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