――地上で出すものと車内で出すものは、やはり違いますか?
「最初はそう考えていたのですが、実際始めてみると、意外と車内でなんでもできてしまうんです。ほとんど普通のレストランと変わりません。もちろん、揺れはあるので、高く積んだり、付け合せを立たせることはできませんが。それ以外は大体できます」
――火力は足りるんでしょうか?
「火が使えないので、IHなんです。なのでバーナーであぶることはできません。しかしパイを焼くオーブンはあるので、メインのパイ包み焼きなどは車内で焼いています。朝のパンもオーブンで焼きます」
――それは驚きです! 季節ごとに料理の内容が変わるのでしょうか?
「季節ごとにガラッとメニューが変わるわけではなく、その時その時で旬の素材を変えていっています。たとえば、信州の杏(あんず)。1週間だけ生で食べられるという期間があるのです。ちょうどその時に四季島の運行が重なった時は、直前にメニューを変えたりします」
――杏というと、つい駅弁に入っているものを想像してしまいますが……生の杏はデザートですか?
「いえ、オードブルになります。全然酸っぱくなく、甘くて美味しいんです。それをホタテと合わせたりとか」
――味がまったく想像つかないので、ぜひ食べてみたいです! 四季島ならではのオリジナルメニューですね。
ちなみに岩崎総料理長は身長が190cmくらいあるらしい。この日は長いシェフ帽をかぶっていたが、四季島に乗車する時は、天井に届いてしまうため、短めのシェフ帽にしているそうだ。
食器類にもこだわり
食事をしながら、サービスをするクルーにも話を聞いた。
まず四季島のマークの入った白磁器は、フランスのレイノー社製。メイン料理に使う模様の入ったナイフは、福井県越前市の龍泉刃物。今回、ほかのカトラリーは違うが、ナイフだけは特別に四季島用に作ってもらっているものだそう。確かに、力を入れなくてもスッと切れる。ちなみに龍泉刃物のナイフは人気で、なかなか手に入らない。今注文しても、届くのは約4年後だそうだ。
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