食事会で「四季島」の乗車気分を味わってみた フレンチにカツオだし、パンは車内で焼く

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――地上で出すものと車内で出すものは、やはり違いますか?

シェフ姿が岩崎総料理長。その左隣がピアニストの木住野佳子さん。実際に乗務しているクルーと(筆者撮影)

「最初はそう考えていたのですが、実際始めてみると、意外と車内でなんでもできてしまうんです。ほとんど普通のレストランと変わりません。もちろん、揺れはあるので、高く積んだり、付け合せを立たせることはできませんが。それ以外は大体できます」

――火力は足りるんでしょうか?

「火が使えないので、IHなんです。なのでバーナーであぶることはできません。しかしパイを焼くオーブンはあるので、メインのパイ包み焼きなどは車内で焼いています。朝のパンもオーブンで焼きます」

――それは驚きです! 季節ごとに料理の内容が変わるのでしょうか?

「季節ごとにガラッとメニューが変わるわけではなく、その時その時で旬の素材を変えていっています。たとえば、信州の杏(あんず)。1週間だけ生で食べられるという期間があるのです。ちょうどその時に四季島の運行が重なった時は、直前にメニューを変えたりします」

――杏というと、つい駅弁に入っているものを想像してしまいますが……生の杏はデザートですか?

「いえ、オードブルになります。全然酸っぱくなく、甘くて美味しいんです。それをホタテと合わせたりとか」

――味がまったく想像つかないので、ぜひ食べてみたいです! 四季島ならではのオリジナルメニューですね。

ちなみに岩崎総料理長は身長が190cmくらいあるらしい。この日は長いシェフ帽をかぶっていたが、四季島に乗車する時は、天井に届いてしまうため、短めのシェフ帽にしているそうだ。

食器類にもこだわり

食事をしながら、サービスをするクルーにも話を聞いた。

「ホロホロ鳥胸肉のローストと腿肉のパイ包み焼き」で龍泉刃物のナイフを使う(筆者撮影)

まず四季島のマークの入った白磁器は、フランスのレイノー社製。メイン料理に使う模様の入ったナイフは、福井県越前市の龍泉刃物。今回、ほかのカトラリーは違うが、ナイフだけは特別に四季島用に作ってもらっているものだそう。確かに、力を入れなくてもスッと切れる。ちなみに龍泉刃物のナイフは人気で、なかなか手に入らない。今注文しても、届くのは約4年後だそうだ。

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