食事会で「四季島」の乗車気分を味わってみた フレンチにカツオだし、パンは車内で焼く

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初めに出されたものは「四季島特製ヴィシソワーズのムース雲丹添え」。フワッフワの優しい食感は、まさに最初に口にするにふさわしい。

巨大な椎茸が使われたテリーヌ。実物を見せていただいた(筆者撮影)

次に「宮城県産穴子と笠間のジャンボ椎茸 里芋のテリーヌ」。これに合うワインを聞いたら、「高橋葡萄園」(岩手県花巻市)の「リースリング・リオン」を勧められた。リースリングというとドイツワインの甘めのものを想像してしまうが、こちらのはすっきりとした酸味のある味。色も透明に近い。

ソムリエの方が実際その地に足を運んだ際に、「ワインでどんなことを表現されたいか」と質問したところ、製造者の方は「この土地の澄んだ空気を表したい」と答えたそう。まさにその表現がぴったりのワインだ。その土地を想像しつつワインをいただき、テリーヌを味わった。

鮑のポワレの上に添えられている花はエディブルフラワー。食べることができる(筆者撮影)

続いて「山形県舟形マッシュルームのクリームスープ カプチーノ風」、マッシュルームのうま味が詰まった濃厚な味で、とても気に入った。

お魚料理は「青森県産鮑のポワレ 神楽南蛮味噌とバルサミコのソース」。こんなに柔らかい鮑は初めてだ。味噌とバルサミコという組み合わせも珍しい。

次はお肉なので、そろそろ赤ワインも頼んでみよう。この日は「ワイナリーこのはな」(秋田県鹿角市)の赤ワインだった。ちなみに赤・白ワイン、どちらも同じワイナリーから、ということはせず、この産地からは赤、ここはスパークリング、などと選んでいるそう。

ビールも地ビールを多く入れたりなど、地元を大切にしつつ、旬の食材が出るタイミングで種類を変えていく。お酒はビール以外で50種類くらいが常時用意されているとのこと。1泊2日の行程と、3泊4日の行程では、基本違う種類のものをそろえているそうだ。

大体のものは車内で調理できる

メインの「岩手県石黒農場より ホロホロ鳥胸肉のローストと腿(もも)肉のパイ包み焼き」が出てきた頃、岩崎総料理長がテーブルを回ってきた。お料理についていろいろと聞きたかったことを答えてもらった。

――どれも大変凝っていて、これが四季島車内で提供されるのかと驚きました。

「四季島のお客様の年齢層に合わせて、フランス料理というよりは、極力日本の食材で和のテイストを入れるようにしています。テリーヌの里芋も、一度火を入れた後に、カツオだしで含め煮にして、ほんのりカツオの風味が感じられるように。あと、ソースのマヨネーズには柚子を入れています」

――そういった仕込みは、さすがに車内の調理ではないのですよね?

「テリーヌはもちろん乗車前に調理しますが、それ以外は車内で作業していますよ」

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