仮想通貨が崩れると半導体価格も崩れるのか 半導体の「スーパーサイクル論」に異変?
今年に入って、仮想通貨の採掘(マイニング)に必要な画像処理半導体〈GPU(グラフィック・プロセッシング・ユニット)〉の需要が鈍化しているが、最近はよりその傾向が鮮明化している。
仮想通貨マイニングの需要減がスーパーサイクル論に影
足元は、GPUを手掛けるアメリカの半導体大手エヌビディア社の決算(8月16日)が冴えなかった理由として、この仮想通貨マイニング(採掘)マシン向けGPUの需要減退が指摘された。市場では「半導体需要の拡大は通常よりも長期化する」という「スーパーサイクル論」が、「仮想通貨の価格低迷→GPUの需要減退」で根拠を失うのではないかとの声も聞かれる。
筆者はマイニングマシンに用いられる機器の覇権争いのなか、GPUがASIC(特定用途向け集積回路)に押されつつあることがGPU需要減少の大きな要因と考える。つまり、たとえGPU大手のエヌビディアやAMD(アドバンスト・マイクロ・デバイセズ)社の株価を一服させる要因となっても、ASICの需要拡大によってGPU需要の減少をカバーするというロジックだ。
そもそも市場規模を考慮すると仮想通貨マイニングの需要増減が「スーパーサイクル論」を左右するとは到底思えない。
改めて、まずマイニングに関して簡単に説明しよう。ビットコインなど仮想通貨の多くは、売買や送金などのトランザクション(取引)が一定時間ごとに、ネットワーク上に分散保存されている取引台帳(ブロックチェーン)に書き込まれるという仕組みで成り立っている。この書き込み作業のことを「マイニング」という。
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