経験の蓄積が戦力になるのも野球の醍醐味だ 高校野球にプロ野球、8月の熱戦を振り返る

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続いては恒例の私の半生の振り返りからお話ししましょう。

前回はプロ入りを果たした1年目まででした。その続きを。

近鉄バファローズ1年目から1軍に定着し、出場機会にも恵まれ、ある程度の結果を出して、レギュラーとしてプレーしていた4年目のことでした。

野球人として初めての大ケガをしました。

下顎骨骨折です。

理由は打席の中で、左投手から死球を受けたことによるものでした。バントの構えから、抜けた投球が頭部付近に来たので避けたつもりでしたが、運悪く少し空いていたところから右顎に直接当たったのです。当たったときは、それは痛かったのですが、意識はあったので、自分の足で歩いてベンチに帰りました。

すぐにトレーナーと患部の確認をしました。外傷はないものの口内に出血があり、いつもの噛み合わせとは違っていたため、病院に直行したのです。

第4回のコラムでもお話ししましたが、この年から梨田昌孝氏が監督として就任されていました。梨田氏の指導のもと、捕手のレギュラーとして試合出場をしていましたが、このケガで約2カ月の戦線離脱。これが、選手としては最初で最後の長期離脱になりました。

顔のケガでも復帰までの時間はすぐだった

そのとき、患部を動かさずに自然治癒か、プレートで固定する手術かの二択が用意されましたが、手術をするほうが復帰が早いとの見解でしたので、人生で初めての手術を経験しました。しかも顔って(苦笑)。

オペをした2日後から病院の体育館で体幹を鍛えるトレーニングを始めたのを覚えています。もちろんすぐに復帰できるように、です。おちおち休んでいられないのもプロだからこそかもしれませんね。

退院後のリハビリもありました。手術前から上下の歯をワイヤーで留め、唇を閉じたままの状態に固定していたため、筋肉が落ち、口が開かないようになってしまっていたのです。しかし、普通に喋ったり食事が摂れるようになれば終了。

「え?それだけ?」と思いましたか? そうなんです、それだけ(笑)。

というわけで、この話をすると大概の人がとても心配してくださるのですが、肩や肘や膝の手術後のリハビリとは違い、私の場合はまったく苦にはなりませんでした。

そして試合復帰です。

当時は今の選手が装着しているような、顔を守る形状のヘルメットはなかったので、復帰直後はアメフトの選手が被っているようなフェイスガード付きの重いヘルメットを被りましたが、すぐやめました。このヘルメットが非常に重くて視界も遮られるので邪魔だったことと、もう一つ。打席に立つ恐怖心がまったくなかったのです。

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