気鋭ベンチャーは人工「流れ星」を作り出すか JAXAと組んだ宇宙ベンチャーALEの実力

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ALEは具体的な開発費や流れ星1つ当たりのコストは明らかにしていないが、「流れ星のもととなる粒は衛星1基あたり約400粒搭載し、開発中の3号機には2000粒搭載する予定で、価格を調整すれば顧客が満足できる値段でも採算は取れる」(岡島氏)と見込む。

人工流れ星は都市のプロモーションなどの需要を見込んでいる(画像:ALE)

すでに海外からは都市のプロモーションなどに使えないかとの問い合わせも来ており、野外ライブの演出や観光地のショーとしての需要があると想定している。岡島氏は「夜空を彩る、宇宙のエンターテインメントを実現させたい」と思いを話す。

国内でも日本航空(JAL)とファミリーマートが協賛を表明しており、流れ星観測フライトなどの話も出ている。流れ星の放出に合わせた「流れ星コーヒー」のようなコラボ商品の開発も念頭にあるようだ。自治体の町おこしや夜にエンターテインメントがない観光地でのナイトタイムエコノミー活性化に利用してもらうことも可能だ。

流れ星を嫌う文化も

とはいえ、懸念もある。「世界中のすべての人が流れ星好きだとは限らない」(岡島氏)のだ。中国では、流れ星は人の死を連想させる不吉なものととらえる文化がある。実際、人気がある『三国志演義』では天才軍師として登場する諸葛孔明が亡くなった際に流星の描写がある。

岡島氏は「中国を含むアジア圏では派手さを好む風潮もあるから、流れ星に対するイメージを考慮しながらも、みんなが楽しめる宇宙エンターテインメントを作ることができれば」と話す。

流れ星という宇宙から夜空を彩るエンターテインメントは秒読み段階に入った。

劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

解説部記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。台湾台北市生まれの客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説の研究者でもある。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。ピアノや旅行、アニメが好き。

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