気鋭ベンチャーは人工「流れ星」を作り出すか

JAXAと組んだ宇宙ベンチャーALEの実力

さらに、人工流れ星で基礎科学の発展に貢献できることも岡島氏を突き動かした。流れ星が発生する高度約60キロメートルにある高層大気のデータは観測・分析が進んでおらず、流れ星を放って大気の状態を観測することで物理学の発展につながるという。

「高層大気のデータは取りづらく、大気の研究のために流星を研究する人もいる」(岡島氏)。流れ星をエンターテインメントとして売り込むだけでなく、観測や分析を行ってデータを研究者に提供することも想定している。

JAXAのイプシロンで打ち上げ予定

ALEの流れ星事業はJAXA(宇宙航空研究開発機構)の「革新的衛星技術実証プログラム」の候補に採択されている。最初の人工衛星もJAXAのイプシロンロケットに載せて打ち上げる予定だ。

一方で、ロケットを打ち上げるJAXAはALEに対して安全性に関する特別な説明を求めた。宇宙空間で意図的に物体(金属粒)を放出するという前例のないことだからだ。人工衛星が運用可能か判断するJAXAの審査では安全に正しく金属粒を放出できる設計であるかなど、流れ星放出に関する特別な審査項目も設けられた。

金属粒の放出技術について、ALEの蒲池康チーフエンジニアは「目標の方向、位置、速度、時刻などすべての条件が正しくなければ放出できないシステムを構築した」という。

すでにJAXAが定める4段階の安全審査のうち3段階をクリアし、4段階目の審査中だ。流れ星放出技術に関する特別な審査は3段階目までで終了しており、残すは衛星の機体に関する審査などだ。

8月には小惑星イトカワのサンプル採取を行った「はやぶさ」ミッションのプロジェクトマネージャーだった川口淳一郎JAXAシニアフェローがALEの技術顧問に就任。衛星の運用面でも円滑に事業を進められる体制を整えた。

ALEが独自開発する人工衛星と放出機(記者撮影)

今後1年で人工衛星を2基投入して、流れ星のもととなる金属粒を載せた放出機が宇宙空間でも正確に作動するか確認する計画だ。早ければ2018年末にも1機目を打ち上げる。

「必ず予定どおりに粒を放出し大気圏内に突入させる仕組みだから、宇宙デブリや衝突事故のおそれもない」(蒲池氏)と安全性には自信を見せる。2020年以降に打ち上げを計画している開発中の3号機では、運用終了後に大気圏へ突入させて巨大流星として処分する構想で、デブリを発生させない方法を構想中だ。

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読売新聞主筆として93歳の今も、社論をまとめる要の役割を果たしている渡邉恒雄氏。安倍首相と定期的に会食するなど、なお政治のキーマンでもある。歴代の首相を知る同氏は現在の政治とメディアをどう見ているのか。本誌編集長がインタビュー。