人手不足なのに「外国人留学生」は就職難だ 単純労働人材の拡大より先に解決すべき問題

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日本学生支援機構のデータによると、高等教育機関(大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校、準備教育課程)に通う外国人留学生数は16年度が前年度比プラス12.5%、2017年度が同プラス10.1%と、2年連続の2ケタ増となっており、今後はややラグをもって卒業・終了生数も同様の伸びとなるだろう。留学生数と卒業・修了生数は1~2年程度のラグをもって連動している。当然のことだが、就職率を目標の5割に引き上げるためには留学生の卒業・修了生数の伸び率以上に企業が採用数を伸ばさなければならない。

企業の背中を押す政策が必要だ

仮に、今後も高等教育機関に通う留学生の数が17年度実績の前年度比プラス10.1%で伸び続けるとし、その1年遅れで卒業生数も同じペースで増加するとすれば、20年度の留学生の卒業生数は約7.3万人となる(2016年度の約4.9万人の約1.5倍)。さらに、「就職率5割」の政府目標が達成されるとすれば、約2.6万人の留学生が就職する必要がある(3割程度の留学生が卒業したあとに再び進学することなどを考慮して試算した)。2016年度は1.4万人の留学生が就職したことから、2020年に約1.8倍の留学生が国内の就職先をみつける必要がある。さらに今後は、日本企業は2倍以上の留学生を受け入れる必要がある。

今後は一段と企業と留学生のミスマッチを防ぐだけでなく、企業側の受け入れ姿勢を強める必要がある。政府は「どこまでが移民なのか」といった定義上の議論に終始するのではなく、幅広く外国人材の必要性を訴えることで、留学生すら十分に受け入れることのできていない日本企業の背中を押す必要があるのではないか。

末廣 徹 大和証券 チーフエコノミスト

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すえひろ とおる / Toru Suehiro

2009年にみずほ証券に入社し、債券ストラテジストや債券ディーラー、エコノミスト業務に従事。2020年12月に大和証券に移籍、エクイティ調査部所属。マクロ経済指標の計量分析や市場分析、将来予測に関する定量分析に強み。債券と株式の両方で分析経験。民間エコノミスト約40名が参画する経済予測「ESPフォーキャスト調査」で2019年度、2021年度の優秀フォーキャスターに選出。

2007年立教大学理学部卒業。2009年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了(理学修士)。2014年一橋大学大学院国際企業戦略研究科金融戦略・経営財務コース修了(MBA)。2023年法政大学大学院経済学研究科経済学専攻博士後期課程修了(経済学博士)。

 

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