「外国人労働者の受け入れ拡大」をどう読むか 安倍政権の発想は「人手不足への処方箋」
6月5日、経済財政諮問会議において外国人労働者の受け入れ拡大方針が表明され、早ければ秋の臨時国会に関連法の改正案が提出される見通しとなっている。従前求められてきたほどの高い専門性を備えていない外国人労働者にも門戸を開放することで、2025年までに外国人労働者を50万人超増やす計画であり、この政策は「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)」に明記される。
とりわけ人手不足が深刻とされる建設・農業・介護・宿泊・造船の5業種を対象に2019年4月から新たな在留資格を設けるという。今回の改正案は、これまで忌避されてきた外国人によるいわゆる「単純労働」を容認するものとして注目されている。あくまで「人手不足に対応する処方箋」であって「移民政策」ではないというのが政府・与党の弁であり、従来の延長線上の発想という位置づけになる。
「50人に1人」は外国人労働者という現実
政府が方針を示すまでもなく、われわれは単純労働に従事する外国人労働者を日常で目にするようになっている。コンビニやレストランを訪れて、店員がすべて日本人というケースは、もはやまれだ。これは統計を見れば首肯できる現状である。過去5年間で外国人労働者は59.6万人増えた。この間、日本人の就業者数は250.9万人増えているので、増加分の5人に1人が外国人だった計算になる。
ちなみに2017年12月末時点の日本人の就業者数は6531万人、現在入手できる最新の外国人労働者数(2017年10月末時点)が127万人であるから、日本で就業する者の約2%が外国人だ。2%というと少ないように感じるが、「50人に1人」といえば印象も変わるだろう。
実態として外国人就労は安倍晋三政権の下でそうとう定着しており、今回はその現状を追認したという側面がまず指摘できる。もちろん、現時点でわれわれが目にする多くの外国人労働者の実態は留学生と考えられ、これを「見ないことにする」として処理してきたことは健全とはいえないので、追認でも意義はある。
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