早稲田政経学部長が語る「数学必須化」の狙い 入試改革に込められたメッセージとは?

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――そもそもなぜ2021年度入試から改革を行うのでしょうか。数年前から始まっている日本全国の大学入試改革と連動しているのでしょうか。

確かに文部科学省が進める「高大接続改革」で大学入試を変えようという中で、問題意識の共有や改革へのコンセンサスはあった。2021年度から「大学入学共通テスト」が導入されるということで合わせている面もある。だが、政治経済学部としては、今回の入試改革は学部改革の一環であるという側面が強い。

政治と経済の両方を学ぶ

――学部改革というと具体的には何でしょうか。

わかりやすいのは2004年に設置した国際政治経済学科だ。それまでは政治学科と経済学科に分かれていて、あまり学科間で交流があったわけではない。外部、特に海外からは「政治経済学部」だから政治学と経済学の両方を密接に絡めてやっていると思われるが、実態はそうだと言い切れなかった。そこで国際政治経済学科という、政治学と経済学を車の両輪のようにつなぐ「政治経済学」部を象徴する学科を新設した。

現代の政治経済学の分野では数学的方法論が重要になっているという(編集部撮影)

同学科のカリキュラムの特徴は必修科目が多いこと。現在の政治学と経済学は共通の分析手法を用いるようになっており、その手法を身に付けさせるのが主な狙いだ。

具体的には、統計学を用いる計量分析やゲーム理論など数学的方法論が現代の政治経済学の分野で重要になっている。大学3年生くらいになると方法論の科目を受講していてよかったねという学生の声が聞こえてくるので、この形の改革はうまくいっていると考えている。このようなカリキュラム改革を政治学科と経済学科にも広げていく。

言い方を変えれば、政治学と経済学の両方を学ぶという昔の理念に立ち戻り、その理念を実現するための新しい方法を取り入れたカリキュラムだと言える。この新しい方法という点で、現代だとどうしても数学が入ってくる。これからはビッグデータの時代なのに、データに関する知識や数学に関する知識がないのは困る。だから、入試で数学を必須化した。

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