早稲田政経学部長が語る「数学必須化」の狙い 入試改革に込められたメッセージとは?

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入試での数学必須化については、政治学科と経済学科、それぞれの教員からさまざまな意見が出た(撮影:今井康一)

――経済学科の教員からは「数学I・Aだけでは不十分で、数学Ⅱ・Bまで必要だ」とする声もあるようです。

そういう意見は承知している。逆に政治学科の先生からは「自分の講義では数学を使わないのに本当に必要なのか」という疑問の声もあった。いちばん大事なのは学生にとって何が重要かという点だ。

学生はこれから、先の見えない社会を生きていくことになる。就職して上司の言うことを聞いているだけではつまずくような世界だ。大学生としてしっかり学んで、自ら考える力を身につけることが必要になる。考える力の基盤には規範や歴史的なロジックなどさまざまあるが、数学のロジックが抜けているのは好ましくない。数学I・Aを必須化するのは、数学の入門のロジックを忘れないでほしいというメッセージだ。

長文読解試験を導入した理由

――今回の入試改革では数学の必須化だけではなく、日本語と英語の長文読解試験が新たに加わることになりました。どのような問題を出題するのですか。

問題形式としては、長文や図表を読み解き、問いに対して記述式を含めて解答してもらうことを考えている。大学入学後に読むような政治経済系の社会科学の長文を想定しており、レベル的には新書が近いだろう。考えながら読んで理解してもらう文章を入試の題材にしたい。

これまでの入試は一部の歴史好きの受験生にとってはよかったが、大学に入って政治や経済を学びたい受験生にとっては負担でしかなかったはずだ。政治経済に関する文章を出題することで、より適性がある学生を選抜することができる。

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