あの首長竜を50年前に高校生が発見した必然 フタバスズキリュウ「発見50年」

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フタバスズキリュウについて書かれている『学習百科事典』(小学館)を前に。佐藤たまき東京学芸大学准教授(左)とフタバスズキリュウの発見者である鈴木直(ただし)さん(写真:ブックマン社)
福島県いわき市でフタバスズキリュウの化石が発見されてから今年で50年になる。発見したのは、当時高校2年生だった鈴木直氏だ。そして、このフタバスズキリュウを研究し、新属新種としての名付け親になったのが佐藤たまきさん。2人の恐竜対談をお届けする(本記事は『フタバスズキリュウ もうひとつの物語』(ブックマン社)に収録されている対談を編集し直したものです)。

「鈴木少年」との出会い

佐藤:フタバスズキリュウの記載論文を出版した後に記念講演などで何度かお会いしましたが、それ以来でしょうか。

鈴木:そうかもしれません。論文が出たのは2006年5月でしたよね。最初にお会いしたのはいつでしたかねえ……。

佐藤:私にとっての最初はこれ(小学館『学習百科事典』)です。ここに子どものころの愛読書を持ってきました。フタバスズキリュウの項目に「鈴木くん」が出てきます。私は、おそらくこうした本を通じて鈴木さんを知ったんだと思います。

鈴木:そうでしたか。

佐藤:実際にお会いしたのは、卒業研究をやっていた1994年の夏前後ではないでしょうか。卒論の参考にするために、当時、鈴木さんが職員をされていたいわき市の石炭・化石館に展示されていた標本を測らせていただきました。お名前を聞いて「わあ! フタバスズキリュウの鈴木さんだ!」とすごく驚いたのを覚えています。

鈴木:思い出しました。女性の若い学生さんが「古脊椎動物学を研究する古生物学者を志している」と話すのを聞いて、すごく素敵だなあと思いましたよ。当時の日本ではあまり聞いたことがなかったですから。

佐藤:確かに古生物学、特に古脊椎動物をやる女性はほとんどいませんでしたね。

鈴木:私がこの世界に興味を持った1960年代後半は、女性に限らず、日本で古脊椎動物を研究している方はごく少数でした。限られた方々が支えてきた世界だったんです。

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鈴木 直 公益財団法人いわき市教育文化事業団いわき市アンモナイトセンター主任研究員

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すずき ただし

1951年、福島県いわき市生まれ。1968年10月、福島県立平工業高校2年生のときにフタバスズキリュウを発見する。その後もいわき市石炭・化石館職員、財団法人いわき市教育文化事業団職員として、一環して古生物の調査、研究を続ける。現在は公益財団法人いわき市教育文化事業団いわき市アンモナイトセンター主任研究員。

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佐藤 たまき 古生物学者

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さとう たまき

東京学芸大学准教授。幼いころより古生物が好きで、古生物学者を目指して進学した東京大学理学部地学科で研究対象としての首長竜に出会う。その後、アメリカ、カナダへの留学を経て首長竜の研究で博士号を取得。フタバスズキリュウの研究に参加し、2006年に新属新種とする論文を発表した。カナダ・王立ティレル古生物学博物館、北海道大学、カナダ自然博物館、国立科学博物館での博士研究員を経て、2007年に東京学芸大学に着任、2008年より現職。2016年猿橋賞受賞。

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