近未来の感染症流行を予測できる数式の衝撃 北大教授「数理モデルで感染症を食い止める」

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現在、国連エイズ合同計画(UNAIDS)では90-90-90というスローガンを打ち出している。

感染した者の90パーセントが自分の状態を知り、その90パーセントが治療を受け、その90パーセントでウイルスの量が制御されているという状態を目標とするということだ。これを達成すれば感染を制御できる。

日本ではどうか。

数理モデルで推計すると、現時点では最初の90が達成されておらず、診断されている人は感染者の7割ぐらいだという。診断された人の治療やウイルスのコントロールは95パーセントを超えている。

つまり、日本のHIV/AIDS対策の要点は、とにかく検査をどのように勧奨するのかということにかかってくる。それがエビデンスをもってはっきりと言えるのである。

国のワクチン接種政策は誤りだらけ

1970年代に風疹のワクチンが開発され、いろいろな国で導入された。しかし、ギリシャではその接種を義務化しなかったために、接種率は20から30パーセント台で推移した。これでは風疹を排除するにはまったく足りない。

その結果、だらだらと流行が続き、子どもの病気だったものがだんだんと大人の病気になってしまった。そして妊婦が感染し、多くの先天性風疹症候群の子どもが生まれてしまった。これがギリシャの悲劇として知られる有名な話だ。

ここから得られる教訓は、接種をするのであれば大規模な流行を起こさない集団免疫を達成するほどの度合いで接種することが重要ということである。

前述したように、日本でもある時期に風疹の予防接種を女子中学生に限ったことで、風疹に対する免疫がない中年男性が増え、2012年から2013年に風疹の大流行につながった。その結果、40人を超える先天性風疹症候群の子どもが誕生した。

しかし、問題は風疹だけではないと西浦教授は言う。

「いまの季節性インフルエンザのワクチン接種政策も誤りだらけだ」

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