頭痛薬でさらに痛みが増す「頭痛のジレンマ」 常用しがちだが「過ぎたるは及ばざるが如し」
筆者は前出の女性に対し、すべての鎮痛薬を即座にかつ完全に8週間は中止しなければならないこと、最初の2週間ほどは反跳性頭痛に悩まされるだろうことを詳しく説明した。
彼女はしばらく考え込んだ末、「健康な子供を産めるようになりたいので頑張ります!」と力強く宣言した。
少しでも体調をよくするため、頭痛からきていると思われる首や肩の筋肉の凝り(筋筋膜性疼痛)に対して、ストレッチングと自己マッサージを指導した。
2週間後の再診時、女性はサッパリとした顔を上げて言った。
「薬を止めた翌日からひどい頭痛が起こりましたが、とにかく2週間頑張るんだ、と自分に言い聞かせてひたすら耐えました。すると、1週間目くらいから頭痛が軽くなり、10日目に朝起きたときから、頭痛はまったく感じなくなりました」
過ぎたるは及ばざるが如し
さらに2週間後の再診時には、「頭痛はまったく起こっていません。頭がとてもすっきりしています。首や肩の凝りもほとんどなくなりました。あんなに苦しんでいたのが何だったのだろう、と思います」とのことだった。
仕事でのストレスに対処できるように、ストレッチングと自己マッサージに加えて、リラクゼーション法(自律訓練法)も指導し、1日1回は最低行うようにと指示した。
その後、2ヶ月に1度くらい、昔のような典型的な片頭痛発作が起こるようになった。それでも、トリプタン製剤が劇的に効くようになったので、特に困らないとのことだった。
研究によると、薬物乱用頭痛から抜け出せるかどうかは、主に使用していた薬剤の種類(医療用麻薬やバルビツール酸などは困難)により、年齢、性別、薬物乱用頭痛の期間は無関係だとされている。
ただ、個人的な経験からは、将来子供を持ちたいと思っている若い女性が最も成功率が高いといえる(ほぼ100%)。
一方で、元々の患者数は多くないが、中年男性が最も成功しにくいように感じられる。タバコや酒が頭痛に関与していると考えられるにもかかわらず、禁煙や禁酒ができないことが、理由に挙げられる。
「過ぎたるは及ばざるが如し」とは頭痛薬にも当てはまる。
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