ゼネコン各社が不動産開発にのめり込む理由 鹿島、ゼネコン初のREITに込めた野望
鹿島PREITが扱いを想定する物件は全国の政令指定都市を対象に商業施設、住宅、ホテルと幅広いが、主力とするのは首都圏のオフィスだ。
現在、首都圏では再開発でオフィスビルの大量供給が予定されているが、老朽化した中小型ビル群を再開発によって建て替えるケースが多く、総床面積自体はさほど増えないと考えられている。
また、オフィス環境の改善を志向する企業が増え、坪単価は横ばいだが、リラクゼーションスペースやコワーキングスペースなどを確保するため、借りる総面積は増加傾向にある。
そのため、東京五輪以降も、首都圏の好立地のオフィス需要は高水準を維持すると見られており、安定的な運用先として、不動産投信への投資家のニーズは根強い。
進むゼネコンのデベロッパー化
もっとも、物件価格が高止まりする中、鹿島側に計画に見合うだけの物件供給力がなければシナリオは崩れるが、「不動産開発の事業歴はかれこれ50年。バブル崩壊後、不動産開発から撤退するゼネコンが出た時期にもやめずに継続してきたため、含み益のある物件を多数所有している」(鹿島)という。
近年の大規模開発は総投資額が1000億円を超えるものも珍しくない。リスク分散のため複数社による共同事業となり、施工を請け負うゼネコンも共同事業者として完成物件の床の一部を取得する機会は多い。
鹿島PREITの運用開始時点の7物件、総額250億円の資産はすべて鹿島が供給しており、REITの資産規模は3年後に500億円、5年後に1000億円を目指す。「鹿島の手持ち物件だけでほぼ確保可能で、1000億円もほぼ見通しは立っている」(鹿島PREITの運用を担当する鹿島不動産投資顧問)という。
鹿島以外の大手ゼネコンも開発事業への大規模な投資を計画している。大林組は2021年度を最終年度とする5カ年計画で、賃貸事業に1000億円の投資を計画、初年度に598億円の投資を実施済みだ。
清水建設も今年度で終わる5カ年計画で総額1400億円の開発投資を計画。スーパーゼネコン5社の中では最も開発投資に積極ではない大成建設も、2020年度を最終年度とする3カ年計画に、海外、エネルギー、都市開発などに1500億円の投資を盛り込んでいる。
建設業での利益拡大が困難になるなか、ゼネコンのデベロッパー化は確実に進行しそうだ。
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