意外と進んでいて驚く北朝鮮「スマホ事情」 アマゾンのような通販サービスも
通信速度も上がってきているようだ。今年に入ってからの北朝鮮国営メディアの報道によると、平壌の黎明(リョミョン)通りと未来科学者通りでWi-Fi(ワイファイ)サービスの実験が行われているという。ただ、専門家からは、この情報は割り引いて考えるべきだとの指摘が出ている。
前出のキム氏が言う。「組織で利用する目的に限ってWi-Fiに接続することを許された個人も多少はいるのかもしれない。だが、一般のスマホユーザーが接続できるWi-Fiがあるとしたら、それはイントラネットがベースになっているはずだ」。
スマホの値段はだいたいどれくらい?
米オープン・テクノロジー・ファンド(OTF)のナット・クレチャン副理事も、キム氏と同じ見方だ。OTFは、開かれたインターネットの実現に向けて活動する米政府系の組織である。
クレチャン氏によれば、「たとえば、携帯電話のシステムを使ったタブレット端末で、ある種のイントラネットに無線接続することをWi-Fiと呼んでいる可能性はある」。海外の情報に接していて、Wi-Fiという言葉に慣れ親しんでいる人物が実験に参加していたとしたら、このような仕組みに「Wi-Fi」という用語が充てられたとしても不思議ではないということだ。
あるいは、「一定のエリアでイントラネットに無線接続できる仕組みを構築しているのかもしれない。それなら、技術的にも難しくはない」(クレチャン氏)。
確かに、北朝鮮のスマホ環境は大きく進歩してきた。だが、スマホ普及率で世界トップを走る韓国に比べれば、何年も後れを取っている(韓国のスマホ普及率は94%)。利用者数が伸びているといっても、実際にスマホを使って通信が行える環境にいる国民はごく一部でしかない。
スマホの値段も決して安くはない。何しろ、1人当たりGDP(国内総生産)が1800ドル(約20万円)の国で1台800ドル(約8万9000円)もするのだ。つまり、北朝鮮でスマホを自由に利用できるのはトップクラスの富裕層だけだろう。平壌などの大都市に住んでいる「トンジュ(金主)」と呼ばれる新興富裕層が、その代表とみられる。
前出のクレチャン氏は、「イントラネットでアクセスできるコンテンツは世界的な基準でみれば、まだ極度に制限されているが、徐々に広がってきているようだ」と話している。
(文:ティア・ハン)
記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら
印刷ページの表示はログインが必要です。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら