ウォルマートが挑む「ラストワンマイル」の壁 打倒アマゾンに向けて秘策を推進中だが…
その数カ月後、ウォルマートは2つの州で開始していた当初実験プログラムから静かに退却、1月にはこれを完全に中止していたことが、ロイターが入手した資料や20人を超える従業員への取材で判明した。
「従業員による宅配」という取り組みに失敗した背景には、玄関先に安く早く荷物を届ける熾烈な競争において、アマゾンに追いつくための画期的な方法を探っているウォルマートの苦闘を垣間見ることができる。
対象商品を食料品や紙皿などの関連商品に限定
同社のデータによれば、実店舗の買い物客がオンラインサービスも使い始めた場合、実店舗またはネット店舗のどちらかを利用する顧客よりも2倍近く利用額が多いという。
ウォルマートはニュージャージー州で「乗用車に積めるものならどんな商品でも店舗従業員が配達できる」という発想の下で、実験プログラムを開始。しかし、退社後の時間を使わなければならないことに懐疑的な従業員の反発を買い、この試みは頓挫した。この実験に参加した従業員16人に対するロイター取材で明らかになった。
同社は現在、ジョージア州ウッドストックの1店舗のみで従業員4人が配達するという、当初と比べかなり控えめなサービスを試行している。今回は、従業員向けのガイドラインも全面的に見直し、宅配対象商品も食料品や紙皿などの関連商品に限定した。
同社の広報担当者モリー・ブレイクマン氏は、今年初めに最初の実験プログラムを終了したことを認めたが、詳細については語らなかった。商品宅配のさまざまな方法を同社はテストしていると語り、「(ジョージア州店舗での)結果に勇気づけられている」と述べた。
米国住民の9割は、ウォルマートが国内展開する4700店舗から10マイル(16キロ)圏内に居住しているが、それでも同社は効率的な宅配方法を見出すため、ここ数年で数十億ドルをネット小売事業に投じている。
直近では、昨年のクリスマス商戦の際、ウォルマートのネット売り上げは一部の投資家を落胆させた。