英語を丸暗記するよりも断然覚えやすいコツ 動詞や前置詞の核心的なイメージをつかもう

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ほかにもget dark「暗くなる」やget better「よくなる」、get lost「道に迷う・途方にくれる」などがあります。同じ「~になる」を表す動詞にbecomeがありますが、becomeは「永続的な変化」を表し、getは「一時的な変化」を表すため、それぞれに使い分けがあるのです。

前置詞も核心のイメージをとらえればカンタン!

ここまでお話ししたのはどれも動詞でしたが、丸暗記にさよならすれば、前置詞も面白くなってきます。前置詞においても、丸暗記した日本語訳で考えるのではなく、英語本来のイメージをつかむことが鍵なのです。

たとえばonを例に挙げてみましょう。この場合、つい「~の上」と訳してしまいそうですが、onの核心のイメージは「接触」。キャラにしてみると、壁でも天井でもどんな場所にもぴたりとくっつく、人造人間ピタットくん。

There is a picture on the wall.(壁に絵が掛けてある。)

絵は壁の上にあるわけではありません。両者は接触しているので、onで表せるのです。

「進行中」でも、onはよく使われます。on saleという表示は、日本でも目にしますよね。

The book is now on sale.(その本は発売中です。)

「動作に接触している」ということから、「進行中(~の最中)」という意味になりました。文例にでてきたon sale「発売中」という表現は、「販売という動作に接触して」→「発売中」となります。

また、動作だけでなく意識に対しても、onは使われます。「意識が接触している」という考え方から「~について」という意味が生まれました。

I bought a book on cats.(私は猫に関する本を買った。)

『核心のイメージがわかる!動詞キャラ図鑑』(新星出版社)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

「猫に関する本」と聞くと、a book about catsを思い浮かべる人もいるでしょう。aboutも「~について」の意味ですが、どちらかというと、一般的な内容の場合に用います。これに対しonは、「専門的な内容」の場合に使います。つまり、aboutは「周辺」という漠然としたイメージから一般的な場合に、onは「接触」というイメージからその内容をべったりと深く扱う場合に用いるわけです。

さらに、「心の接触」から、「依存(~に頼って)」の意味も表します。

Japan depends on foreign countries for oil.(日本は石油を外国に頼っている。)

単に接触しているだけでなく、思いっきりくっついて頼っているイメージです。

動詞にせよ前置詞にせよ、“丸暗記”だけでは見えてこない、英語の世界があります。核心のイメージとキャラを心に留めておくと、「なるほど!」と納得できるでしょう。

関 正生 英語講師・語学書作家

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せき まさお / Masao Seki

1975年東京生まれ。慶應義塾大学文学部卒業。TOEICテスト990点満点取得。オンライン予備校「スタディサプリ」で、毎年、全国の小中高生・大学受験生90万人以上に講義を、また、大学生・社会人にTOEICテスト対策の講義を行っている。九州大学・明治学院大学、企業での講演も多数。著書に『大学入学共通テスト 英語が1冊でしっかりわかる本』など。

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