富士の樹海に伝わる「5つの都市伝説」の真実 「コンパスが効かないから迷う」は本当なのか

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富士樹海を回る筆者

僕が初めて樹海に入った時はまだGPSは高価だし今ほど性能もよくなかった。現在では登山用GPSで正確な現在地を確認しながら進むことができる。また機械式のコンパスもある。そのためついアナログのコンパスはぞんざいに扱われがちだが、いざというときにはアナログ式のコンパスが非常に役に立つ。機械式と違って、電池切れがないし、壊れづらいからだ。

スマートフォンのコンパスアプリでまさかの体験

僕は一度、樹海散策を趣味とする人たちと一緒に行動し、樹海のど真ん中ではぐれてしまったことがあった。その時はアナログのコンパスを持っておらず、スマートフォンのコンパスアプリを頼りに樹海を抜けようと思った。しかしどれだけ歩いても抜けられなかった。地図アプリで現在地を調べると、なぜか同じ場所をグルグル回っていた。その時はさすがに

「樹海ではコンパスが効かなくなるという都市伝説は本当かもしれない……」

と思った。

時間はすでに16時を回っていた。樹海は樹で覆われているため、かなり早い時間で暗くなる。18時を回ったら行動ができなくなる季節だったのでかなり焦った。

夕方だったため西日が射していた。東に進む予定だったので、自分の影を追って進んだ。タイムアップギリギリでなんとか遊歩道に出ることができた。

脱出した後に、なぜコンパスが効かなくなったのかが判明した。スマートフォンのカバーケースに磁石が付いていたのだ。コンパスは、磁石に引っ張られて狂ってしまっていたのだ。

その経験以来僕は樹海に行くときはもちろん、普段もコンパスを持ち歩くようにしている。

2、樹海にはそこら中に死体が転がっている。

樹海は海外では「スーサイド・フォレスト」と呼ばれている。自殺の森という意味だ。富士山麓の森が自殺の森になっているというのは、外国人にはセンセーショナルらしく、「AOKIGAHARA」という単語ははやり言葉になっている。そのせいか樹海近くの道の駅などでは、外国人観光客が非常に増えた。

仕事で、人気ヘヴィメタルバンド「スリップノット」のメンバー、クラウンさんを樹海に案内したこともあった。彼は

「どうしても樹海に行ってみたかった」

と話していた。

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