富士の樹海に伝わる「5つの都市伝説」の真実 「コンパスが効かないから迷う」は本当なのか
ただ樹海は広い。そこら中に死体があるわけではない。実際、僕が樹海に通うようになって10年以上は死体を見つけていなかった。
だから答えは、
「死体は確かにあるけれど、そこら中にあるわけではない」
である。
初めて見つけた時も、死体散策をしていたわけではなかった。
「樹海に生えているキノコが見たい」
という女性イラストレーターさんを案内していた時だった。キノコの写真を撮りながら、樹海を適当に散策していた。休憩しつつ風景を写真に撮っていると、男性がヌッと立っているのが見えた。
「え? こんな樹海の中で?」
と思ってよく見てみると、樹からロープが垂れているのが見えた。近寄るとまだ亡くなってまもない遺体だった。近くには新聞や弁当の空き箱、栄養ドリンクの空き瓶などがキチンと置かれていた。
記事にしてもいいからもう一度行きませんか?
警察を呼び、事情を聞かれた後に帰還した。せっかくだから記事にしようと思い、某雑誌の編集部に電話をすると、
「記事にしてもいいからもう一度行きませんか? もう少し樹海内の写真を欲しいので」
と言われた。こちらとしては、ただで樹海に行けるのはラッキーなのでもちろんOKした。そして同行した女性編集者さんと散策していると、また新たな死体にバッティングした。
女性編集さんは顔色を失い、逃げ出してしまった。2体目の死体も死んでまもなかったが、それでも1週間程度は経っていたようだ。
まぶたがギュルギュルと動いたので、驚くと目から大きな銀蝿が出てきた。ハエたちは目や鼻や口から容赦なくドンドン入り込んでいた。目から黄色い涙が流れているように見えたので、近づいてみるとハエの卵だった。まだウジは湧いていなかったが、いったんウジが湧くと一気に肉がなくなっていく。ウジはアリの好物なので、アリもわらわらとたかる。ネズミやイタチなどの動物も食べるので、2カ月くらいで骨になってしまうようだ。僕は今までに20体ほどの死体を見たが、大半は白骨死体だった。
死体を探すために樹海に通っている知り合いは、10年で70体以上発見しているそうだ。その人に樹海で死体を発見するコツを聞くと
「色ですね。樹海は緑、茶色、黒、以外の色はほとんどないんですよ。だから白色、黄色、紫色、青色……などを見つけたらそこに人工物がある可能性が高いです」
と教えられた。
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