量的緩和のやりすぎは、日本人を不幸にする カビ臭い経済理論を実践する、安倍政権の罪

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昨年の原油価格は05年~07年の円安期よりも平均して40~50%高いのに加え、液化天然ガスは約130~150%も上昇している状況にありました。おまけに、液化天然ガスの輸入量は約1.5倍にも増加していました。エネルギーや原材料を輸入に頼る日本企業にとって、110円~120円台の過去の円安期と比べても、昨年のほうがエネルギーコストの負担が大きく増えていたのです。

このように資源価格が高止まりしているときに、昨年末から進んで円安によって資源の輸入コストがさらに2割前後も膨らんでしまっています。円相場が1円安くなるごとに、液化天然ガスや原油の輸入コストが2700億円~2800億円ほど増加することを考えると、円安が急激に進むことは一昔前と違って喜ばしいものではありません。11年の平均為替レートが1ドル79円であるので、仮に13年の為替が100円であったとすると、貿易赤字がエネルギーだけで5兆6700億円~5兆8800億円も増加する計算になってしまうのです。

なぜ日本国民の生活水準はアメリカ国民よりマシか

今年になって企業経営は厳しさを増しています。消費者離れを恐れる企業はエネルギーコスト増加分を価格に転嫁することをできるだけ抑えます。その結果、05年~07年の好況期と比べてもなおさら従業員の給与をアップさせることなどできませんし、世界の不透明な経済情勢を意識して内部に利益を貯めておくことになるのです。

さらに、インフレは格差を拡大させるメカニズムを孕んでいます。日本は1980年代後半のバブル期でも2%程度の物価上昇率で済み、デフレになって16~17年たちますが、他の主要な先進国と比べて日本で格差の拡大が進んでこなかったのは、物価上昇率が低かった恩恵によるものです。

日本はGDPに占める企業利益の比率が減っている一方で、GDPに占める雇用者所得の比率はあまり下がってはいません。ほかの先進国を見ると、グローバル経済下では企業利益率と労働分配率が概ね反比例の関係にあります。グローバル化の進展後、米欧の企業は人件費を削って、株主配分を増やしてきました。労働分配率が低いのはそのためです。とくに顕著なのが、アメリカでの労働分配率が低いことです。

いまのところ、日本はアメリカとは対極にあります。日本の企業は株主の配分を重視せずに、人件費をあまり削ってきませんでした。だから、日本国民はアメリカ国民よりもマシな生活ができているのです。

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