「ZOZOスーツ」に感じる"モヤモヤ感"の正体

「ファッションの価値」はどうなっていくのか

彼女に聞くと「そもそも似合う服ってなんだろう?と思うんです。スティーブ・ジョブズじゃないけど、黒のタートルネックと決めていれば、服を探したりする時間が短縮できる。私の周りでも服を選ぶことに疲れている女子っているんですよ」という。これはファッションの合理性でもある。そういうミレニアルズが出ているのか、と驚いた。

友人のデザイナーはZOZOSUITが出てきたときにこう話した。

「デザインでいちばん大切なのは、体のサイズからどれだけ余裕をとるか、腕や足の可動域をどうするか。そこにブランドのスタイルがある。そもそも最近はむしろビッグサイズがトレンドになっている。そうやって服のスタイルが作られるのに、ジャストサイズだけがファッションじゃない」

つまり、デザインこそがファッションであると。

ファッションはイコールサイズだけではない。時代によって肩をいからせたり、柔らかく添わせたり、ウエストを締め上げたり、または緩めたり、ミニにしたり、ロングにしたりとさまざまだ。

背景にはやはり時代が絡んでくる。女性を最初にコルセットから解放したココ・シャネルのように、シルエットが持つデザイン性は女性解放まで意味を含んでいた。デザインは女性の生き方まで変えてきたのだ。

それだけに無限に広がるデザインのバリエーションは、そのまま生き方のバリエーションとも思える。女性は服で何者にでもなれる。かつて女性たちにとって、新しさこそがファッションであり、それは流行=MODEと呼ばれた。

男性にとっては「サイズ」こそが重要

一方で多くの男性にとって、ファッションの原点は制服=CODEだ。スタイルが決まっているので、個体差は体型となり、サイズが着こなしの大きな要素となる。

友人の社会学者・古市憲寿は「ファッションって、結局スタイルがいいイケメンが着たらみんなかっこよくなるんじゃないですか?」と言っていた。

相変わらず炎上上等というような口振りだが、ある部分、これも真実だ。シャツ、ジャケット、パンツ。女性に比べてアイテムのバリエーションが少ない男性にとって、良い体型、つまりぜい肉の少ない引き締まったバランスのいい体格でサイズが合った服を着ることは服を着こなすために大切なファクターのひとつだ。

前澤氏は発表会のプレゼンの中で「自分自身、背が小さいことでファッションにコンプレックスがあった」と話したが、そうやって男性の服を考えていくと話がつながってくる。

彼は自分に合ったサイズがないことで「世間に認められていない」という気持ちを持ったという。パンツを履けば、裾を切らなくてはならない。シルエットが変わってしまう。そうなると試着が億劫(おっくう)になり、店に行きたくなくなった。でも服が好きだ。もっと一人ひとりに合った服ができないかと思った。サイズという課題を解決する、これがZOZOSUITを作る原動力になったという。

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