「ZOZOスーツ」に感じる"モヤモヤ感"の正体 「ファッションの価値」はどうなっていくのか

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このZOZOSUITだが、今回「#ZOZO100k」と題して、世界72カ国に10万枚配布するという。この発表会も実は72カ国で同時配信されていた。途中、前澤氏は習い始めたばかりという英語でプレゼンをした。

会場には海外配信をする記者も来ていて、発表後「BOF」オンラインや「Racked」などの海外メディアが記事を配信していた。

ところが、いまいち海外からの反応はあまり見えてこない。おそらくこれから各国のインフルエンサーなどを仕込んだり、プロモーションにも力を入れることになると思うが、海外での可能性は今のところ未知数だ。

周囲の海外の友人に聞くと、あの水玉スーツには「面白い!」と反応がくるが、それでわざわざあの細かな作業をしてサイズを取ろうとは思わない、という。

なぜなら、先ほども書いたが海外ではサイズ展開が豊富であり、多くの人はサイズに困っていない。一方、本当にファッションが大好きなユーザーたちは、ブランドが出す限られたサイズを着こなせる体型になろうと努力する(たとえば、『プラダを着た悪魔』に登場するアシスタントのエミリーはアメリカのサンプルサイズ4が入らなくなったら人生終わりだ、と野菜しか食べない。こういう女性たちは多数、実在する)。

はたしてZOZOSUITは海外で成功するのか。

海外で先行する日本のアパレルといえば、ユニクロがいる。「LIFE WEAR」を掲げて、海外でも支持が広がっている。

昨今は、ユニクロUにデザイナー、クリストフ・ルメールを起用したり、今季は先日ボッテガ・ヴェネタを退任したトーマス・マイヤーとコラボしたり、もともとの機能に「ファッション」を持ち込もうとしている。今年、クリエーティブディレクターに元『POPEYE』編集長、木下孝浩氏を起用したのもその一環だ。

ファッションにITを持ち込み「サイズを最適化」「工業化」するゾゾ。かたや、大量生産の工業製品にファッションを持ち込もうとするユニクロ。まったく違うアプローチをする両者だが、数年後に大成功を収めているのははたしてどちらだろうか。

理論的には、無店舗で世界進出できるが…

すでに一定の成功を収めるユニクロに対し、ゾゾは大きく遅れているように見えるかもしれない。だが、ゾゾが進めるグローバル化のベースは、「スマホから工場直結」。店舗を出さずとも、海外進出が可能な形だ。

理論的には各国に支店も店舗もスタッフも置かずにグローバル化ができる。だからあの「72カ国で無料配布」というメッセージムービーが効いてくる。これもIoTが進んだ2010年代だからできる新しいグローバル企業の形だろう。

そして、今週ZOZOはPBに靴とブラジャーの開発を始める、と発表した。女性にとって一番サイズストレスの大きな2アイテムだ。
靴はD2Cで先行しているブランドもあるが、ブラジャーは女性性の繊細な部分でもある。その微妙な部分をテクノロジーでどう解決していくのか、そこもZOZO の力量が問われるだろう。

オーダーで作ったデニムはまだまだ改良の余地があると感じた。だが、自分用にカスタマイズされた最適な一本を、店舗を経由せずに買えるということの価値。これはもはやファッションという既存の軸で斬れるものではないのだろう。私たちは、日本発アパレルによるかつてない挑戦を、これから見ることになるのかもしれない。

軍地 彩弓 編集者

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ぐんじ さゆみ

大学在学中から講談社の『Checkmate』でライターのキャリアをスタート。卒業と同時に『ViVi』でフリーライターとして活動。その後、雑誌『GLAMOROUS』の立ち上げに尽力。2008年に現コンデナスト・ジャパンに入社。クリエイティブディレクターとして『VOGUE GIRL』の創刊と運営に携わる。2014年に自身の会社、株式会社gumi-gumiを設立。『Numéro TOKYO』のエディトリアルアドバイザー、ドラマ「ファーストクラス」のファッション監修、Netflixドラマ「Followers」のファッションスーパーバイザー、企業のコンサルティング、情報番組のコメンテーター等幅広く活躍。

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