世界で日本だけが「元号」に固執し続ける理由 このガラパゴスな慣習はいつまで続くのか?

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すなわち、現在の米国の日本研究者にとっては、韓国が昭和の終わりに際して見せた強い反応ではなく、「元号とイデオロギーの乖離」が進んでいると見えるのだ。だからこそ、「なぜ、日本では世界で唯一元号を使っているのか」との疑問が、より強く残る。

日本が元号を使い続ける「消極的な理由」

元号とイデオロギーの乖離が進み、そして、元号ではなくシステム上の利便性を優先させるために西暦の使用を望む声が優勢であるにもかかわらず、なぜ日本は、今も元号を使うのか。

①「他国からの批判意見もない」ため

それは確かに保守派が唱えるように、天皇の権威を示す記号だからかもしれない。けれども、韓国が「昭和時代」に見せたような激烈な反応は、日本においても、さらには米国をはじめとした諸外国においても、すでに見られない。

②「新元号をめぐるタブー感はない」ため

天皇が即位してからの30年という時間により、「平成」という元号が、特有のイメージを持たなくなり、つかみどころのないものになった。加えて、今回の御代替わりは「崩御」ではなく「譲位」や「退位」となるため、新元号をめぐる議論にタブー感はない。

③「廃止する動機もさほどない」ため

「元号使用は伝統的で、西暦だと進歩的」などと分けることに意味はなくなり、元号が良くも悪くも権威を失ってカジュアルになり、廃止する動機もさほどない。

1979年に元号法が成立してから40年近くが過ぎた。このため、今にいたって、わざわざ「元号を廃止する」と主張したとしても、その根拠となるものが見当たらない。

強いて挙げるとするなら、「西暦の方が便利だから」だ。しかし、それが理由だとしても、行政文書等での元号使用を強制しなければ済む話であって、あらためて「元号を廃止する」きっかけにはならない。

裏を返せば、元号法によって法的根拠が与えられている以上、使う場面や頻度は減るとはいえ、日本は元号を使い続けるほかない。

あえて廃止するきっかけや根拠もないがゆえに、今もそしてこれからも日本は世界で唯一元号を使う国として存続していく。少なくとも筆者にはそうとしか言いようがない。

鈴木 洋仁 社会学者

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すずき ひろひと / Hirohito Suzuki

1980年東京都生まれ。東京大学大学院学際情報学府博士課程修了。博士(社会情報学)。京都大学総合人間学部卒業後、関西テレビ放送、ドワンゴ、国際交流基金、東京大学大学総合教育研究センター特任助教を経る。専門は歴史社会学。著書に『「平成」論』(青弓社、2014年)。共著に、『映像文化の社会学』(長谷正人編著、有斐閣、2016年)、『作田啓一vs.見田宗介』(奥村隆編、弘文堂、2016年)などがある。

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