世界で日本だけが「元号」に固執し続ける理由 このガラパゴスな慣習はいつまで続くのか?

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もちろん、北朝鮮が採用している「主体(チュチェ)」は、金日成の誕生年である1912年を元年としており、一世一元の元号とは異なる。台湾の「民国紀元」もまた、中華民国の建国年の1912年を紀元としており、これも元号とは異なる。

だから、確かに日本が世界で元号を使っている唯一の国であること。そして、その紀年法(数え方)は天皇に基づいている以上、その権威が元号と密接に結びついていること。この2点は揺るがないように見える。

海外の元号に対する反応

とはいえ、元号が、日本以外の国でどのように認識されているのだろうか。そこで、昭和天皇の崩御にあたっての隣国・韓国からの反応を見てみよう。

東亜日報1989年1月9日付の紙面は、「ヒロヒトの死により、20世紀の明暗を分けた昭和時代は終わりを告げた」と始まる(強調は引用者による)。筆者が参照したのは、同年1月10日付の朝日新聞朝刊だ。朝日新聞は「昭和時代の終焉」と見出しを付した上で、「同胞の生命失い屈辱を忘れられぬ」とサブタイトルをつけている。

同記事によれば、「『昭和時代』の前半は、戦争と侵略の歴史でつづられた」のであり、「わが国に残した傷跡はまだ深い」という形で、「昭和」という元号が使われている。韓国にとって、「昭和」は戦争の傷跡を想起させ、なおかつ、「『天皇制』の歴史的責任を問わざるを得ない」記号にほかならない。

あるいは、直近での海外からの反応はどうだろうか。

米国コロンビア大学で日本史を研究するキャロル・グラック教授は、朝日新聞2017年8月30日付朝刊で、「もう元号は、昭和までと同じ存在ではない」と断言する。グラック教授は、「元号と日本人の関係が決定的に違っています。かつてのような元号と西暦をめぐるイデオロギー対立はみられず、ほとんどの日本人は、便利に暦を使い分けるようになりました」と述べる。もはや、天皇は元号と時代の中でも中心的な位置を占めていない、というのが彼女の見立てである。

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