格差を拡大させる韓国「働き方改革」の実態

しわ寄せは低所得者層に

 7月17日、韓国で今年1月に実施された、過去17年で最大の上げ幅となった17%の最低賃金(時間額)引き上げが、低所得層の収入に逆効果をもたらし、投資や求人を抑制している可能性がある。写真は、ロッテワールドモールで働く作業員。ソウルで2015年3月撮影(2018年 ロイター/Kim Hong-Ji)

[ソウル 17日 ロイター] - 韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領は、国民の労働時間を減らつつ賃金を増やしたいと考えている。それを達成すべく、韓国政府は最低賃金を上げ、週の労働時間の上限を引き下げた。

だが、首都ソウルのロッテマートで麦茶の試飲を配るHeo Jeongさん(48)は、そうした政策の結果、収入の3分の1を失ったと話す。

 労働時間の減少が収入減に直結

Heoさんが働く店舗は営業時間を短縮し、スタッフの勤務時間を削減した。かつて1カ月に40時間働いていた彼女は現在、32時間勤務で月収は120万ウォン(約12万円)と以前より3分の1少なくなった。手当が付く夜勤にあまり入れず、ボーナスが支給される機会も減っているからだ。

彼女だけではない。7月1日に法定労働時間が1週68時間から52時間に削減されて以来、多くの企業が従業員を増やすよりも終業時間を早めている。

これは、文大統領の改革が裏目に出始めていることを示す多くの兆候の1つであり、格差に正面から取り組む「雇用の大統領」になるとの公約が危ぶまれていると、エコノミストは警鐘を鳴らす。

もう1つの問題は、今年1月に実施して、過去17年で最大の上げ幅となった17%の最低賃金(時間額)引き上げが、低所得層の収入に逆効果をもたらし、投資や求人を抑制している可能性があることだ。

下位20%の家計所得は、第1・四半期に前年同期比で8%低下。韓国統計庁がデータを集計し始めた2003年以降で最大の下げ幅を記録した。また、15─29歳の約4分の1が失業している。

次ページ大半の店舗で営業時間を短縮
政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 占いのオモテとウラ
  • 非学歴エリートの熱血キャリア相談
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • iPhoneの裏技
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
三菱重工と日立 「統合」破談から<br>10年 製造立国の岐路

10年前に統合構想が破談になった三菱重工業と日立製作所。その後両社は対照的な道を歩み、2009年に伯仲していた時価総額は今や日立が大きく上回っています。本特集では明暗が分かれた三菱重工と日立を主軸に、製造立国・日本の生きる道を探りました。

東洋経済education×ICT