格差を拡大させる韓国「働き方改革」の実態 しわ寄せは低所得者層に
「もっと長く働きたい。できるだけ夜勤に入りたい」とHeoさんは言う。「自分の周りで収入が増えたという人は、実際に必ずしもいるわけではない。私自身、食費を減らしている」
ロッテの広報は、大半の店舗で営業時間を短縮し、その結果、一部の下請け労働者の労働時間が減ったことを確認している。
政府が委託した最低賃金委員会は14日、来年の最低賃金を前年比10.9%増の8350ウォン(約835円)にすると発表し、懸念をさらに高めた。
小規模企業の業界団体である小商工人連合会は、改革履行を拒まざるを得ないと表明。「小規模事業主は岐路に立たされており、廃業するか人員削減か、選択を迫られている」と声明で述べた。
韓国企業の雇用は減速
確かに、韓国企業の雇用は減速している。今年はこれまで、雇用の伸びは月間平均で14万2000人となっており、2008─09年の世界金融危機以降でもっともペースが鈍化している。
文大統領は16日、最低賃金の引き上げが、小規模事業主や低所得者に悪影響を及ぼしている可能性を認めたものの、所得増に重点を置いた政策に変わりはないと語った。
「最低賃金の大幅な引き上げは、低所得層が威厳ある生活を送れるようにするためだ。家計所得が上がれば国内需要を押し上げ、ひいては雇用創出につながる」と文大統領は閣僚に語った。また、政策によって窮地に立つ低所得者向けに補助金支給も検討していると付け加えた。
文大統領の人気は依然高い。南北首脳会談を受けてピークをつけた5月の支持率83%からは低下しているが、7月も69%と高い水準をキープしている。ただ、調査会社ギャラップ・コリアによると、支持率は4週連続で低下している。こうした数字に経済がどの程度影響しているかは定かではない。