格差を拡大させる韓国「働き方改革」の実態 しわ寄せは低所得者層に

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文大統領が最低賃金に関する選挙公約を実現するには、2020年までに時給を1万ウォンに引き上げなくてはならない。

大統領の政策は、低所得に取り組むための「正しい措置」だと、ユジン投資証券のチーフエコノミスト、Lee Sang-jae氏は指摘する。

しかし、OECDは6月に発表した韓国リポートの中で、そのような上昇は加盟国でも前例がないと警告。文大統領に対し、これ以上最低賃金を上げる前に、今年の経済的影響を評価するよう推奨している。

米中貿易戦争に巻き込まれるリスク

だが、そのような評価がうまくいくかについては、多くのエコノミストが疑問視している。

韓国の労働市場改革は、アジア経済圏の中心に位置する中国が減速の兆しを見せ、韓国の輸出企業が米中貿易戦争に巻き込まれるリスクが高まる中で行われている。

「最低賃金引き上げや他の雇用促進策はこの先、格差を是正するのに役立つだろうが、今は非常に悪いタイミングだ」と英銀行大手スタンダード・チャータード(ソウル)のエコノミスト、Park Chong-hoon氏は語った。

(Cynthia Kim and Heekyong Yang 翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

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