30代40代には厳しすぎる?「人生100年時代」 定年後「40年間終わった人」にならないために

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特に「人生100年時代」ということになると、退職してから後の人生がまことに長く感じられる。リアルな平均寿命は、統計上の平均寿命よりもさらに長い。現在の日本人は、男性の2人に1人は85歳まで、女性の2人に1人は90歳まで生きる。それどころか今年、日本で生まれたゼロ歳児は平均で109歳まで生きるとの試算もある。生まれてから20年間は学校などで修行をして、会社に入ってから40年間は働いて、そのあと40年間も「終わった人」を続けるのかと考えると、これはゾッとするところがある。

平均寿命が短かった時代の方が幸せだった?

思えば平均寿命がもっと短い時代の方が、日本人は幸福であったかもしれない。1960年代に始まった国民的アニメ番組『サザエさん』は、フジテレビのホームページを見ると「磯野波平54歳、舟50ン歳」という設定である 。今の感覚で行くと、失礼ながらお2人は70代くらいに見えてしまうけれども、下の子どものワカメちゃんが9歳なんだから、そんなに老けているはずがないのである。

とはいえ、1960年代の日本(たかだか半世紀前のことに過ぎない)においては、サラリーマンの定年は55歳であり、平均寿命は60代であった。すなわち波平さんはあと1年で定年となり、あと10年程度でお迎えが来るはずであった。定年後やら第2の人生なんてことは、そんなに深く考える必要はなかったのである。しかるに今の筆者は、波平さんより3つも年上(57歳)になってしまった。そのうえ「あと40年くらいは生きるかもしれないなあ~」などと考えている。どうしますか、ご同輩。

それにしても、昔の日本人は若くして貫録があったものである。波平さんの54歳と言えば、「今太閤」と呼ばれた田中角栄が1972年に首相に就任したときの年齢でもある。「よっしゃ、よっしゃ」の宰相はド迫力に感じられた。あるいは戦後日本を代表する名優、石原裕次郎が1987年に死んだときは享年52歳であった。TVドラマ『太陽にほえろ』のボス役は、30代に演じていたことになる。デスクでお茶を飲んでるだけでも、すごい存在感だったけどなあ。

ともあれ日本人の寿命は延びた。そんな中で政府は、「人生100年時代構想会議」を開催している 。平均寿命が短かった時代にできたさまざまな制度が、今ではどんどん現実に合わなくなっている。そこで働き方から教育制度まで変えなきゃいけないというのは分かる。が、そんなことより、個人として自分がどう生きていくかが問題だ。

と思ったら、今では読者の大半が高齢者と思しき月刊文芸春秋の8月号が、「『定年後』最強のマネー術」という特集を掲載している。年金と退職金お得なもらい方、相続税を減らす2つの方法、保険と医療費を見直す、投資するならこの3つの商品(おっ!ここは輪番で当欄を連載している山崎元さんの寄稿だ!)などといった記事が掲載されている。

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