もちろんこれは内燃機関のクルマでも同じようにできるが、その操作をする際に、電気自動車ならばより操作を忠実に素早く反映できるモーターという機構を持つがゆえに、内燃機関よりもさらに幅広く、きめ細かな操作性が実現できるのである。
そしてこれはドライビングにおいて、クルマとドライバーの対話性をこれまで以上に高めることができて、クルマを走らせた時に感じる一体感もより高い次元へと昇華できる可能性のひとつになる。電気自動車が用いるモーターはもっともっときめ細かに、そして人間の意思に忠実に制御してあげることができるはずで、そうすると、これまでにない異次元のドライビング環境が作り出せる可能性も生まれてくるのである。
さらにそうした制御の幅広さときめ細かさを応用すれば、より多くの人に優れた運転環境を提供できると考えられる。なぜならこれほどまでにきめ細かで幅広く制御することが可能ならば、今度は逆にドライバーによっては曖昧だし、大きな差のある運転操作をクルマの側で補正して、最適で安全なアウトプットへと変換できるからだ。
きめ細かなコントロールを可能にする
事実、リーフではすでにそうした制御は入っている。例えば氷上のツルツルの路面の上でも、無意識にハンドル操作してアクセルを踏めば、想像以上に自然に走れてしまう。これはクルマの側でインテリジェントトレースコントロールやトラクションコントロールが働いているからだ。
もちろんこうした制御は内燃機関のクルマでも同じものが入っている。だが、先に記した通りで内燃機関をコントロールするのと、モーターをコントロールするのでは幅広さやきめ細かさ、レスポンスの次元が全く異なる。それだけに、氷上などでは1万分の1秒単位で制御が可能な電気自動車が類い稀な操作性を実現する。
「今回のリーフNISMOは、おっしゃるように今後の電気自動車における走りの可能性を感じていただく商品です。また同時に今後の電気自動車というジャンルにおいて、スポーツモデルが必要かどうか? それを探るための意味合いも含まれています」
リーフNISMO試乗後の別日にインタビューした、日産の常務執行役員でEV製品開発を担当する赤石永一氏は言う。
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