アップルは「性欲に訴えるブランド企業」だ GAFAは「本能を刺激する」から強すぎる
私がコンピュータ・メーカーのゲートウェイの取締役会にいたとき、利益率はたった6パーセントだった。アップルのコンピュータは、性能が低いものでも28パーセントだった。私たちゲートウェイが脳にこだわる(ゲートウェイでは魅力的に見えない)一方で、デルはすでに(合理的な)規模の競争で勝利を収めていた。私たちはどっちつかずのあいまいな状況を変えられず、二束三文で売却される羽目になった。ほんの数年前、株価は75ドルを記録していたが、エイサーには1株1.85ドルで売却された。
アップル・ブランドの製品を熱望する気持ちを生み出したことで、アップルはカルトのような存在になった。このカルトに属する人々は、論理――人間工学的にスマートなデザイン、優れたオペレーティング・システム、ウィルスやハッカーによる攻撃への抵抗などに基づいてアップル製品を買う――を超えた誇りを持っている。
アップル製品を販売する若者たちと同じように、彼らは自分たちを〝天才〟、哲人、アップル十字軍の歩兵とみなし、違う考え方をして世界を変えようとしている。何よりもそれで自分がかっこよくなると思っている。
しかしその信者でない人々には、本当のことが見える。それは性欲に近いものの正当化である。
ライバル「よりも」優れて見えることが重要
アンドロイド・ユーザーは自分が合理的だと思うことで、嫉妬心を抑える。同じようなものが99ドルで買えるのに749ドル出してiPhoneを買うのはまったく合理的でない。おそらく彼らは正しい。まともな決定を行うあなたは、次世代のiPhoneが発売されるのを待って店の前でひと晩を明かすようなことはしない。
アップルのマーケティングとプロモーションは、伝統的なセクシー路線ではない。そのメッセージは、アップル製品を持てば異性(ときには同性)の目にもっと魅力的に映るということではない。
これはどのラグジュリー・ブランドにも共通することだが、アップルはあなたのほうがライバルよりも優れて見えますよ、というメッセージを伝えているのだ。エレガントで頭がよく、金持ちで情熱的だ。あなたは完璧だ。クールできちんとしていて、ポケットの中で音楽を聴き、プロ並みだが実はスマホで写した旅先の写真をスワイプしていく。きっと現世で最高の人生を送れるだろう。少なくともビジネス界のイエス・キリスト、成功の頂点、信念を持つ天才、セクシーでワイルドなスティーブ・ジョブズに近づける。
しかし、もう一度言おう。それは「性欲に近いもの」の正当化なのだ。
(翻訳:渡会 圭子)
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