アップルは「性欲に訴えるブランド企業」だ

GAFAは「本能を刺激する」から強すぎる

それに対して、フェイスブックは心に訴えかける。タイド(洗濯洗剤のブランド)が母性本能に訴えるのとは違い、フェイスブックはあなたと友人や家族とを結びつけるのだ。フェイスブックは世界を結合する組織だ。私たちの行動データと広告料の組み合わせが、グーグルと肩を並べる怪物を支える。

しかしグーグルと違って、フェイスブックで重要なのは感情だ。人間は社会的な生き物である。1人では生きられない。家族や友人と引き離されると、うつ状態や精神疾患を患ったり、早死にしたりすることが、研究で明らかにされている。

人が形成する集団が決まった大きさであることは昔から知られていた。人間の歴史には、ローマの軍隊から中世の村……そしてフェイスブック上の友だちの数まで、いくつもの数字が出てくる。これらの数字は、とても人間的な事情から生まれている。私たちはだいたい1人の伴侶を持ち、親友は─―よくジョークになるのは─―棺を担ぐ人数である6人。チームとして効率的に働ける人数は12人。見て誰かわかる人の数は1500人。

フェイスブックの見えない力は、それらの集団のつながりを深めるだけではない。フェイスブックはより強力なマルチメディアのコミュニケーション手段を提供することで、より多くの人々へとつながりを拡大する。それで私たちはもっと幸せになる。他者に受け入れられ、愛されていると感じるのだ。

アップルは「性欲」に訴える

アップルも最初は頭に訴えるもので、テクノロジー分野の用語で語られる会社だった。売りは効率的であること。広告にはこう書かれていたものだ。「フォードが1903年の大半を費やして取り組んだ同じ小さな問題を、いまアップルは数分で処理できる」。マックは発想を変える(シンク・ディファレント)助けとなった。

しかし、やがてアップルは、狙いを体のもっと下に移した。その存在感を放つラグジュリー・ブランドは、性的な魅力を手に入れたいという私たちの気持ちに訴える。アップルは生殖本能にアピールすることで、他者と比べて法外な利益を得て、史上最高に利益率の高い企業となった。

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カーリング人気萌芽の時代から、平昌五輪での銅メダル獲得まで戦い抜いてきた著者。リーダーとして代表チームを率いつつ、人生の一部としてカーリングを楽しめるにまで至った軌跡や、ママさんカーラーとして子育てで得た学びなどを語る。