ホンダ、爆売れジェットで狙う航空業界変革 「生みの親」藤野CEOがこだわった価値観とは

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――2輪や4輪事業のディーラーモデルから学ぶことはありますか。

ホンダ エアクラフト カンパニー本社は米ノースカロライナ州にある。格納庫も併設され、顧客への引き渡しも行われる(編集部撮影)

業界の常識としては、多くの会社が直販。メーカーから専門性の高い人を送りクオリティを担保できるメリットがある。しかしこれだと、大変な数の人が必要となる。ホンダは自動車メーカーなので、ディーラーモデルを活かしてできることは応用している。両方をうまくコンビネーションさせていく。

ジェット事業が軌道に乗ってくると、避けて通れないのが経営だ。非常に繊細かつ厳重な要件が求められるジェット事業については、藤野氏が作り上げたということで顧客やバイヤーが信頼している面が大きい。ホンダエアクラフトカンパニーのチームの育て方についても聞いた。

顧客が満足する商品作りにブレはない

――今後のチームや後継の育成についてはどのように考えていますか。

ホンダジェットには、日本、アメリカ、ヨーロッパ、アジアなど世界40カ国以上から人材が集まっている。 日本人を育てたいという気持ちはもちろんあるが、そこはフェアに、こちらに来ている留学生でトップの成績を持つ方を採る。 ただ日本人の場合は大学受験がピークで、大学に入った後の伸びしろが外国人と差がある印象がある。 広く基礎的なものを学んでいる人は、1つの専門分野だけではなく、学際的なアプローチができる。

ホンダ エアクラフト カンパニーの藤野社長兼CEOは、人材採用へのこだわりを強調した(撮影:今井康一)

そして、「倫理観」と「常識」を持つことを非常に重視している。社員の才能を伸ばしたり、トレーニングはしたりするが、素養による違いはどうしてもある。 

常識と言うと、「藤野はいつも常識のないことをやってる」と言われるが、すべきことをきちんとステップを踏んでしてきた。航空機業界では「70億円の機体に乗る人は燃費を気にする人などいない」と言ってくる人もいるが、顧客が満足するモノを作るということにブレはない。

そして倫理観のある人は、物事を適当には決めない。 そういう人を採ることを意識している。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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