ホンダ、爆売れジェットで狙う航空業界変革 「生みの親」藤野CEOがこだわった価値観とは

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――海外ではシェアジェットビジネスが普及しつつあります。ホンダとしてはどう展開しますか?

今はチャーターが多いが、車でいうウーバー・テクノロジーズのようなシェアサービスとして、エアタクシーやシェアジェットが、海外ではすでに広まっている。ビジネスジェット機を購入した人が使わない時間、稼働率を上げるために、機体を運用してくれる業者を使ってほかの人に貸す。たくさん使えば、使うほどコストは下がっていく。

こうしたビジネスをホンダがやるかはわからないが、いいハードウェアを作るだけではなくて、ビジネスジェットの業態を変えたとか、ウェーブをもたらした、となればいい。まずはエアラインとの協業で使える人を増やす。

車でのライドシェアやカーシェアは今でこそ注目されているが、実はシェアサービスのコンセプトは飛行機のほうが前からある。だが、機体が少ないから実現しにくい。まずは機体を増やすことが大切。満たさなければならない条件が多いが、シェアサービスのビジネスモデルをホンダジェットで開花させたい。

サービスによる収益安定化がカギ

――自動車などと異なり、航空機事業は投資の回収スパンが非常に長いビジネスだと言われています。それはなぜでしょうか。

ホンダは飛行機をやってこなかった。1機種作るにしろ、3機種にしろ、ゼロから試験設備や工場などのインフラに投資しなければならず、まだスケールメリットが小さい。減価償却を1機種のみで取り返すことはできない。

ホンダ エアクラフト カンパニーの藤野CEOは、改良機投入をテコにホンダジェットの一層の拡販を目指している(撮影:大澤 誠)

ビジネスの最初のカギは最初の3年間の保証が終わったときだ。それ以降はサービス収入がコンスタントに入ってくる。特に飛行機は、メンテナンスの要件が厳格に決まっていて、部品には寿命があるので交換するタイミングもわかっている。サービスのビジネスは非常に安定している。

そのために、機体の数をできるだけ早く増やすことが今のマイルストーン。ホンダの場合は、 ディーラーモデルを新たに採用して、 世界をカバーするメンテナンスサービスを提供している。購入者の所在地を分析した上で、アメリカでは5カ所ある拠点からメカニックが派遣され、1時間半以内でサービスを受けることができる。顧客の満足度は高い。

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