勝間和代「発達障害でも挫折しなかった」ワケ できないことをできないと割り切る重要性
勝間:会計事務所とは反対に、私にとってマッキンゼーはとても働きやすい職場だったんですよ。
会計士は「収束系」、つまり「数字が正しいか、間違いがないか」を確認する仕事。何かをミスするたびに、減点されてしまいます。
一方のマッキンゼーは「発散系」で、アイデアビルディングをする仕事です。「こういうことやりたいんです」「こういうアイデアどう思いますか?」とどんどん提案する人が「価値を生む」として評価される。私たちは、後者が得意なんです。
さらにこれからの時代は、AIがどんどん「収束系」の仕事をやってくれるようになるので、「発散系」の仕事が得意な人は有利になっていきますよ。副業も解禁されましたし、より自由度は高くなっていくでしょうね。発達障害の人たちにとっては、働きやすい環境になっていく気がしています。
借金玉:僕も今やっている不動産営業マンの仕事は「過程は問わない。とにかく契約を取ってこい」という裁量の大きさが、自分にすごく向いているなと思います。残念ながら事務作業のミスはいまだによく引き起こすんですが、それは仕事の成果とは別物と考えられているので、大きな問題にはなりません。
起業して経営者をしていたときは、書類関係とか自分ができないことも人に頼めたのもありがたかったです。ただ、決算するのを忘れたことはありますが……。
勝間:それなら私、確定申告で一部の収入を申告するのを忘れて税務署とケンカしたことありますよ。
借金玉:あります、あります(笑)。僕は税務署に発達障害の診断書を持っていって、法律上、申告遅れが許される「やむをえない事由」だと言って闘ってみたことがあります。
環境を選ぶことがいちばん重要
勝間:やっぱり私たちは、できないことは何をやってもできないので、自分に合った働きやすい職場、環境を選ぶことがいちばん重要ですね。
私はよく「バリキャリ」「努力すればできる」系の人だと勘違いされているのですが、実際は真逆です。できないことをいかに自分でやらずに割り切って、人に任せたり、いろんな便利なツールに頼ったりするかを考えることが好きなんです。
仕事だけじゃなく、料理も家事も自動調理鍋の「ホットクック」や、お掃除ロボットの「ルンバ」を使っているのは同様の理由です。
借金玉:勝間さんと話していると、本当に心強いです。「やらないこと」で自分を責めず、自己肯定感を持たれているところは、特に学ぶべきところですね。ADHDの方はもちろん、仕事で行き詰まっている人ほどそういうタイプの人はすごく少ないので。
勝間さんの著書にも書いてあるように、「自分を変えるのではなく仕組みを変える」という考え方を知ると、もっと多くの人が楽になれると思います。
(構成:樺山美夏)
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