「うちのコンセプトは『健全な精神をもって国際人としてマナーに長けた人を育成する』です。これはアメリカ生まれのリトルリーグの考え方でもあります。
たとえば”キャッチャーミットを動かすな運動”。国際試合では審判から”ミットを動かして捕るのは日本だけだ”と指摘されます。それが日本野球だと言われますが、”人をだます、陥れる、侮辱する”ようなプレーをなくそうという運動を行っています。遅きに失したという感もありますが、国際的に通用する人間を育成するためにも重要なことです」
リトルシニアも体罰、パワハラの問題には本腰を入れている。
「3年前からコンプライアンス指針を作っています。指導者の中には”愛の鞭”だという人もまだいます。でも、私どもは、指導は選手に触れなくてもできるはずだと思っています。5月には関東地区の監督を招集してパネルディスカッション形式で、体罰、パワハラ問題について議論しました。
林清一理事長も、”リトルシニアの選手は全員がプロ選手になるわけではない。最終目標は社会人として立派な人材を作ることだ”と常々言っています」
子どもへの健康被害を極力減らす取り組みも
リトルシニアも投手の投球回数制限を設け、選手の健康面にも配慮している。
「1日7イニング、連続する2日間で10イニング投げた投手は翌日投手としては休むことにしています。トーナメントが原則で、夏休みは連戦になりますが、連投は2日間だけにして3日目は他の投手が投げるようにしています。だから最低でも3人投手を育てないと勝てなくなっています。
全国7つの連盟には、顧問のドクターがいます。去年の日本整形外科学会では、各連盟の顧問ドクターが全員参加しました。林理事長もパネラーとして発表しました。そういう取り組みもあって、子どもの健康被害への認識はだいぶ浸透しています」
親の負担の問題はどうなのだろうか?
「選手、保護者の負担を少しでも軽減するために、協賛社を集めています。そのかわり登録料を極力抑えています。
親のお茶当番は、激減しています。連盟として指示をしたわけではありませんが、親の負担が大きいチームは人気がないようですね。それから、私どもは”お父さんにグランド整備をやらせるな”と言っています。グランド整備は選手がするものです。試合のときは、対戦チーム同士でグランド整備することになっています。
もちろん野球好きの親御さんと一緒になって活動することは、いいことです。親子の接点ができますから。でも、親の協力を強制することはできなくなっています」
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